ジョージ・オーウェル「一九八四年」への旅/清水幾太郎

ジョージ・オーウェル「一九八四年」への旅』を読んだよ。未来小説ではなかった…。

『一九八四年』を読んでから、その関連書籍として気になっていた本書。「清水幾太郎」という著者名に怖気づいていて、手が出なかったんだけど、大型連休を前に、たまには堅めのものでもということで選択。

内容的にはジョージ・オーウェルのちょっとした伝記風。それでも、筆者自身のビルマでの経験も織り交ぜながら、ジョージ・オーウェルの作品とその背景を筆者なりに考えていくといった感じかな。

で、筆者の分析は、

マンダーによれば、オーウェルの根本的欠陥は、スタティックな世界観にある。世界をダイナミックに観察することが出来ず、「変化」を認めないところにある。その意味で、彼は、革命を叫びながら、実は保守的である。「変化」を認めないだけではない。抑々オーウェルは変化を欲していないのだ。
ということになる。う〜ん、これは意外な分析なんだけど…。
さらには、『一九八四年』について、
乏しい創造力に鞭を加えて、世界の未来図を描いたのではない。彼の資質に相応しく、ソ連の「事実」を忠実に描いたまでのことである。「未来の予想図」などではなく、「ソ連の過去及び現在の事実の描写」なのである。
と言う。うん、これは納得。『動物農場』もそのように読めばいいのか…。

こんな風に説明されても、結局、ジョージ・オーウェルの主義主張は何だったのかという疑問は残る。「ノンポリ」という単語が何度も出てくるのがそれを象徴しているよね。パロディ小説として楽しめればいいってことかなぁ〜。

ジョージ・オーウェル「一九八四年」への旅
ジョージ・オーウェル「一九八四年」への旅清水 幾太郎

文藝春秋 1984-12
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