世界を変えた10人の女性/池上彰
『世界を変えた10人の女性 お茶の水女子大学特別講義 (文春文庫)』を読んだよ。プラスお茶の水女子大学の学生たち。
『世界を変えた10冊の本』の続編っていう位置づけだけど、今回は趣向を変えて、池上彰氏のお茶の水女子大学大学での臨時授業をまとめたもの。だから、話し言葉が続き、読みやすい。その都度の学生の反応も分かって、面白いし。
内容はタイトル通り。10人の女性を取り上げて、如何に世界を変えたのかを解説したもの。10人のうち3人は自分的には未知の人だったのが、ちょっと悔しい。
ここでは10人の女性について書かれた内容を取り上げるのは控えておく。その代わりに、池上彰氏の教員としての指導の部分に注目してみるよ。大学生はどう考えるべきなのか、大学生の勉強とはどういうものなのかを示唆する部分が多々あったので。
例えば、「はじめに」では、
私はこれから色々な話をしますが、どうかそのまま受け止めないでください。歴史観、女性観、職業観などには、どうしても生身の個人である私が出てしまいます。あなたはあなたで、「池上はこう言っているけれど違うのではないか」などと、引っかかりをいっぱい持ってほしいのです。それが実はとても大事です。と批判的精神を奨励しているよ。その例として、本書のタイトルがどうして「世界を変えた10人」ではなく、あえて「女性」なのか…とか。そう、「女性」としたところに社会的な問題がありそうだからね。
もう一つは、本書に登場する10人の女性の評価について。ある女性の評判は別の側面からみると良くないということに触れて、
素晴らしい人だという話を聞こうと思っていた人には驚きかもしれません。しかし、人間には美点もあれば欠点もあります。丸ごとを受け入れた上で、人間としてどうか、あるいは歴史的にどう位置付けるか、という評価をしなければいけません。そういう態度が、自ら学ぶ大学生としては必要なんじゃないかと思い、あえてみなさんのイメージに冷水を浴びせるところから始めた次第です。と、歴史の味方についても示唆しているよ。確かに、歴史はある一つの側面からしか見ていない場合が多々有るからね。
本書の最後は、学生のレポート講評会を収録。ここでも切磋琢磨される重要性を説いている。大学生の授業としては理想だよね。そう、池上先生の白熱教室なんだよね。楽しい授業に参加させてもらった気分でした〜。
世界を変えた10人の女性 お茶の水女子大学特別講義 (文春文庫) | |
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