たけしの面白科学者図鑑 ヘンな生き物がいっぱい!/ビートたけし

たけしの面白科学者図鑑 ヘンな生き物がいっぱい! (新潮文庫)』を読んだよ。生き物も科学者も面白い。

ビートたけしの科学本は『たけしの最新科学教室』以来かな。たけし自身が理系の人だから話が通じるし、科学者の気持ちが分かるんだろうね。例えもいいし。
ということで、本書は10人の科学者とビートたけしの対談集。「新潮45」での連載物がベースになっているみたい。

10人の科学者の研究対象はすべて生き物。ゴリラから始まって、シロアリ、ウナギ、ダイオウイカ、シマウマ(シマ模様)、ダニ、オオカミ、粘菌、カラスと、大から小まで多彩な生き物たち。そして、それぞれを研究対象にしている人間が一つずついるっていうのも凄い話。それ以上に凄いのがそれぞれの科学者が語る話。もちろん、それぞれの生き物の生き方も凄いけど、科学者の体験することも凄いわけ。

では、彼ら科学者がどうして生き物を研究対象にするのか?通底する考えは「人間を知るため」であると。例えば、シロアリの研究者は、

彼らの社会にどういう力学が働いているのかを見ることによって、僕らの社会にどういう力学が働いているのかとか、この地球上のいろいろな法則性、生き物に関わっている法則性、進化の法則性が見えてくるのではないかと思ったんです。
と理由を語る。そう、人間だって、進化の法則に則っているはずだから、他の生き物を知ることで人間を知る。人間ってすごく人間に興味があるんだよね。

そして、これらの生き物を見ることで分かることは、「人間ってまだまだだ。」ということ。ネムリユスリカの研究者は、

まさに真理というのは、我々の知らないところにあって、常識と真理は必ずしも一緒ではない。人間の常識は嘘かもしれないと考えておかないといけないと思う。
と言うし、ダニの研究者は、
半ば冗談ですが、嫌われ者と思っているダニであっても、生態系の中では必要なんです。「嫌われ者」というのは人間の価値観にすぎない。究極的なことを言うと、持続可能な世の中をつくっていくためには、人間以外の価値観を認めないといけない。
と言っているよ。人間が万物の霊長なんて、ちゃんちゃらおかしいよね。少しは謙虚にならないとなぁ〜。
たけしの面白科学者図鑑 ヘンな生き物がいっぱい! (新潮文庫)
たけしの面白科学者図鑑 ヘンな生き物がいっぱい! (新潮文庫)ビート たけし 山極 寿一 松浦 健二 塚本 勝巳 黄川田 隆洋 窪寺 恒己 近藤 滋 島野 智之 山岸 明彦 中垣 俊之 松原 始

新潮社 2017-01-28
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