大学のIR/小林雅之,山田礼子
『大学のIR:意思決定支援のための情報収集と分析』を読んだよ。それそれの大学で考える。
自分的には『オープンエデュケーション』に引き続き、勉強本。だから、読んでいて楽しいという感じはしないんだけど、知識のまとまりとしては価値があるので、なんとか読了。それにしても、学者先生が書くものはどうしてこうも面白みに欠けるのだろう。冗長的なのも気になるし。
閑話休題。
本書は大学のIRについて概観したもの。ベースとなるのは全国大学IR調査というもの。その結果から何が見えてきて、何が課題になるのかというようなところがまとまって書いてある。
まずは、日本の大学のIRの現状は、
その結果、日本の大学でもIRにあたるような活動はかなり広範に行われているものの、IRとして自覚的に統合された活動にはなっていないことが課題であることがわかりました。といったところ。これは自分の感覚と合致。そもそも、大学は組織的な動きが苦手という土壌のせいもあるんじゃないかな…。
そして、IRのツール。気になるのは「ダッシュボード」。これにも課題があって、
そもそもビジネスの世界で生まれ、高等教育界にも流入しつつある「ダッシュボード」の発想を大学で意味あるものにするためには、とりもなおさずこの3つのプロセス、すなわち「データに何を語らせるかの吟味」、「データが何を語っているかの解釈」、「データが語るストーリーへの対応」を、大学がおかれた文脈に沿って学内で行うことが求められます。ということ。ここで重要なのは「大学がおかれた文脈に沿って学内で行うこと」という言葉。結局はIRにしてもEMにしても、それぞれの大学でどう活かしていくかということを考えるなさいと言っているわけなんだよね。
最後に、高授業料・高奨学金政策の話。
これは自分的には新たな視点。とは言え、世間的には普通に行われている価格設定の話なんだよね。高く買ってくれる人には高く売って、安くないと買わない人には安く売ると。学費に応用できるとは…。
こうもいろいろあると、IRの道は険しいなぁ〜。
大学のIR:意思決定支援のための情報収集と分析 | |
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