日本ジジババ列伝/清水義範
『日本ジジババ列伝 (中公文庫)』を読んだよ。想像できる老後。
本書の解説にも書いてあったけど、清水センセーの小説には老人が登場することが多いような気がする。そして、その老人たちが何の違和感もなく、生き生きと描かれていて、清水センセーは老人の気持ちが分かるのか?という素朴な疑問が起きるほど。
で、本書はその老人たちの普通の生活を粛々と描いたもの。何の装飾もなく、何の仕掛けもなくと、ある意味で退屈な小説なのかもしれないけど、読後にじわっと来る感じかな。
例えば、79歳で世界旅行を楽しむお婆さんの言葉。
「年寄りの目にも、若い人の目にも、初めて見るもんは同じ珍しさだで。そうだないかね。若い人と同じように、年寄りも楽しめるわけだがね。」と、老人でも世界旅行を楽しめる理由を語っているよ。うん、一理あるし、こういう発想ができるってことは気持ちが若い証拠だよね。
そして、社会が老人をどう見ているのか。テレビ番組などを例に上げて、
老人、老婆、お年寄り、孤老、などという言葉を、吟味もなく不用意に使うのだ。と。最近は何歳であろうと「女性」と言っているように感じるのは、社会の変化かもしれないね。
なんだか、本書に登場する高齢者(と表現を変えてみる)に有りがちな行動を、自分もし始めているような気がするなぁ〜。
日本ジジババ列伝 (中公文庫) | |
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