ひとを〈嫌う〉ということ/中島義道

ひとを“嫌う”ということ (角川文庫)』を読んだよ。〈嫌う〉についての深い洞察。

哲学者・中島義道の洞察は深い。哲学者って、もともとそういう人なんだろうけど、徹底的に考えれば、これに行き着くのかと納得する結論を提示してくれるから、読む方としては、かなりの安心感があるわけ。だから、継続的に氏の著作を読みたくなるのかもしれないね。

ということで、今回は〈嫌う〉ということについての考察。まずは、〈嫌う〉というテーマについて。

しかも、こんなに全人類の関心のあるテーマなのに、永遠に同じところをぐるぐる回る訴えと同意、反発と納得に終始するだけ。
なのに、人々は膨大な時間とエネルギーを費やして〈嫌う〉。これって、何なんだろって思うのは当然。だから、一冊の本になるくらいなんだろうね。

そして、〈嫌う〉ことの原因探究。

そのことにより、私のXに対する「嫌い」という感情自体が薄まらなくてとも、私の罪悪感が薄まればいい。それが「正しい」原因なのです。
と。あぁ、あまりの歪みよう。中島先生らしいけど。

最後は〈嫌う〉ことの効用。

長々と原因探究の旅をしてきましたが、じつは「嫌い」の原因を探ることには絶大なプラスの効果があるからです。自分の勝手さ、自分の理不尽さ、自分の盲目さが見えるようになるのです。
と中島先生。そう、〈嫌う〉ということは、好きになることが自然なことと同様。だから、プラスに使ってしまおうって感じかな。
いつもながら、中島先生の発想には恐れ入りました。
ひとを“嫌う”ということ (角川文庫)
ひとを“嫌う”ということ (角川文庫)中島 義道

角川書店 2003-08
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