1974年のサマークリスマス/柳澤健

1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代 (集英社学芸単行本)』を読んだよ。我が青春のラジオ番組。

TBSのアナウンサーだった故林美雄氏の物語。本屋で目にした時には、まずは懐かしさで注目。そう、ちょうど、この物語の時代、自分は中学から高校に掛けての時代。毎晩のようにパックインミュージックを番組終了まで聞いていたっけ。もちろん、ながら勉強。
どうしてあんなに夢中になって聴けたんだろうか?今から思うと単に面白かったからにすぎないんだけど、ラジオを聞くと、何となく大人の世界が分かったような気になったからかもしれないね。中高生時代って、両親と学校の先生以外の大人の話を聞くことがない時期だから。

さて、林美雄の物語。パックを聴いている時から、ちょっとアナウンサーらしくないアナウンサーだなって感じ。もちろん、声は美声で聴きやすい。でも、考えていることがアナウンサーっぽくないわけ。それもそう、当時のパックインミュージックの第二部にはスポンサーが付かず、結果、比較的好きなことを番組の中でやれたのだと。それを象徴するのが、

当時は“おたく”という言葉はなかったけれど、林くんはおたく向けの放送をやっていた。ごく一部の人間だけが涙を流して喜ぶような放送です。
というディレクターの言葉。だからこそ、デビューしたての荒井由実を番組の中で紹介するなんていうことができたんだよね。

ところが、民間放送聴取率とスポンサーには勝てるわけはなく、金曜パック二部は終わる。そして、リスナーの集まりができ、そこから様々な活動が始まる。学生運動の余韻があった時代だったからね。
その後の、林美雄。水曜パックや夜はともだちのパーソナリティを経て、プロデューサー稼業の兼任も。そして、番組は商業化していき、林美雄の思う番組作りはできなくなってくる。

それにしても、一介のアナウンサーの物語が本になるとは。それは、あまりにも影響を及ぼした範囲が広かったからなのではないだろうか。そう、当時の若者たちだけではなく、歌手や俳優、映画監督まで。これだけ、人に影響を与えられる人生って何なんだろ。影響を受けた自分は誰かに影響を与えることができるのかなぁ〜。

1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代 (集英社学芸単行本)
1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代 (集英社学芸単行本)柳澤健

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