ザ・ライト・スタッフ/トム・ウルフ
『ザ・ライト・スタッフ―七人の宇宙飛行士 (中公文庫)』を読んだよ。日本語訳は「正しい資質」。
以前にも紹介した米アマゾン選定の「一生のうちに読むべき100冊」のうちの1冊。こういうリストって、特段に気にする必要はないのは分かっているんだけど、つい気になってしまう自分。単にランキングものに弱いだけか…。
ところが、本そのものは単行本も文庫も絶版。かろうじて周辺自治体の図書館で一冊だけ残っていた。昭和58年発行の文庫版。535頁もの超大作。しかも、字が小さい…。
余計なことを書き過ぎたので、本題に。
本書の副題は「七人の宇宙飛行士」というもの。1959年から1961年頃のアメリカでのマーキュリー計画で選抜された宇宙飛行士七人の活躍を中心に当時のNASAの宇宙開発をドキュメンタリーで描いているよ。
全編で流れるのは、宇宙飛行士とは何なのか?という命題。七人の宇宙飛行士はほとんどがジェット戦闘機のパイロット出身。だから、宇宙船の操縦がその任務だと普通は思うわけだけど、宇宙飛行士の仕事はちと違う。例えば、
宇宙飛行士(アストロノート)とは「星の航海者」を意味するが、実際には無重量状態が肉体および中枢神経系におよぼす影響を研究するためのモルモットにすぎない哀れなやつなのだ。とか、
一言で言えば、マーキュリー計画の宇宙飛行士は従来の定義に従う限り、パイロットではない、ということなのだ。とキッパリ。
しかも、
(われわれのロケットはきまって爆発する)とか、
同情とは、何となれば、わが国のロケットはみんな爆発するからだ。という前提条件付き。
それでも、宇宙飛行士に志願し、われこそは宇宙に行く最初の人間でありたいと野心を燃やす七人。それこそが、「ライト・スタッフ」なわけだけど。
さて、結末やいかに。
中盤以降は実際に宇宙に飛ぶ場面なので、手に汗握るシーンの連続で、分厚い本ながら、楽しめました〜。
ザ・ライト・スタッフ―七人の宇宙飛行士 (中公文庫) | |
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