俗物図鑑/筒井康隆

俗物図鑑 (新潮文庫)』を読んだよ。サラリーマンの夢。

文庫版の初版が昭和51年。当時、本屋に本格的に通うようになった自分にとって、異彩を放つ本書の表紙がおもいっきり印象に残るものだったわけで、それ以来ずっと気になっていた本書。筒井康隆の著作はいくつかは読んできていたんだけど、文庫本で600頁超えなので、ちょっと躊躇もあったわけ。

題名から想像するに、小説というわけではなく、俗物の博覧会風の短編集か?と思うけど、中身は本格的な長編小説。なにせ登場人物多数なので、それぞれの人物の物語に数十頁を費やせは、あっという間に長編小説になってしまう。だから、途中までは連作風にもなっているよ。
で、そのストーリーはというと、それぞれの登場人物のニッチな評論家となり、あらゆるメディアで大活躍するというもの。活躍し過ぎて、最後は凄いことになるんだけど。とあまりにも簡単に書いてしまったけど、奇想天外な内容にビックリするのが、この小説の面白さ。ナンセンスとかブラック・ユーモアとか書かれているけれども、なんと表現したらいいのかなぁ〜。ドタバタ活劇の中にエログロを交えたものと言ってしまおうか。

そして、登場人物のそれぞれがユニーク。

「いいじゃないか。誰だって評論家になれるんだ。何かの評論家になれないなんて人間はひとりもいないんじゃないか」享介は大声でそういった。
と主人公のセリフ。そう、サラリーマンだって、評論家になれる。脱サラも夢じゃないんだと思わせる力強い言葉。何となく、嬉しいよね。アッシは何の評論家になれるかなぁ〜。
俗物図鑑 (新潮文庫)
俗物図鑑 (新潮文庫)筒井 康隆

新潮社 1976-04-01
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