エベレストを越えて/植村直己

エベレストを越えて (文春文庫 (178‐5))』を読んだよ。チャンスは何度もない。

ご存じ植村直己氏によるエベレスト挑戦の記録。とは言っても、植村氏の思いの多くが綴られているので、単なる記録ではなく、植村氏の人生の記憶の一部とも言えるかも。

そして、知らなかったのは、植村氏が何度もエベレストに行っていること。山頂への登頂は一度きりだが、それ以前の二度の偵察隊。その後の国際隊への参加と、日本冬期隊での挑戦など。これだけでも、一人の人間としてはかなりの経験だよね。

では、エベレストの魅力について、植村氏はどう語っているか。
例えば、

越冬中にトレーニングしながら峠の上から見たエベレストの威容は、私がいかに無力な存在であるかを教えてくれ、虚心に帰らせてくれた。
と。なんとなく、日本人が富士山を見て思う気持ちに近いような気がするけど、いやそれ以上の感情なんだろうね、多分。

もうひとつ。登頂に成功したのは一回きりであったことに関連して、

だが私にとってのエベレストは成功も失敗も越えている。そこへ向けて新しいものを見つける、新しいことをつけ加える、そのための努力がすべてであり、そういう対象であることが、私にとってエベレストの魅力のすべてなのである。
と。ちょっと抽象的な表現だけど、富士山ではなく、K2でなく、カンチェンジュンガでもないということを言いたいんだよね。

そうか、植村氏のように「自分の山」というものを見つけたいなぁ〜。

エベレストを越えて (文春文庫 (178‐5))
エベレストを越えて (文春文庫 (178‐5))植村 直己

文藝春秋 1984-12-25
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