子どもは判ってくれない/内田樹
『子どもは判ってくれない (文春文庫)』を読んだよ。論理を追うことの楽しさ。
内田先生の書く文章は、まるで数学の証明を解説されている感覚。仮定があり主張があり具体例があり結論がある。そういう筋道の繰り返し。パターン化されているといえば、それまでだけど、それが読んでいて楽しいわけで、ついつい内田先生の本に手がでるのは必然のこと。
で、本書のその類の一冊。元々は内田先生がブログに書き綴ったもので、編集したり、別の論文を追加したりしてまとめたもの。
では、どんな主張をされているのか。
例えば、
誰からの反論も予期しないで語られるメッセージというのは、要するに誰にも向けられていないメッセージである。「百パーセント正しいメッセージ」はしばしば「どこにも聞き手のいないメッセージ」である。と。だから、内田先生はメッセージを発信するという行為においては、「聞き手に届く」ことを最優先に配慮すべきだと言っているよ。確かに、正しいメッセージというのは、誰にでも分かる。でも、そこから何を主張すべきかが重要なんだよね。それを聞きたいと人々は思っているわけだから。
もう一つ、アッシ的には永遠の課題となっている「教養と何か」について。
内田先生曰く、
「教養」の深浅は、自分の「立ち位置」を知るときに、どのくらい「大きな地図帳」を想像できるかによって計測される。と。まずは自分の立ち位置を知ること。それが分からなければ、進む方向も距離も掴めないわけだし。
この論理的思考についついはまってしまうんだよね。だから、止められない内田先生。次は何を読もうかなぁ〜。
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