クライマーズ・ハイ/横山秀夫

クライマーズ・ハイ (文春文庫)』を読んだよ。あれからもう30年。

衝撃的な事故だったから、その事故を知った時のことははっきりを記憶している。誰もがテレビに釘付けだったように思う。お盆で休みだったことも、その要因だったかな。
御巣鷹山日航機墜落事故をテーマに、地元新聞社の記者を描いた小説。勿論、あの事故が諸々の中心になっているんだけれども、取材を巡って繰り広げられる新聞社内の人間関係と葛藤が面白いよ。

例えば、古株記者と若手記者との対立。古株は「大久保連赤」という過去のでかいヤマを踏んだ経験を手柄に天狗になる。若手はこの事件が初めての大きなヤマで奮い立つ。全権デスクを任された主人公はその狭間で苦悩する。

さらには、経営陣との対立。いかにもありそうな社長派と専務派の対立の中で、思うように作れない紙面に苛立つ。
で、主人公の語る言葉。

「俺は『新聞』を作りたいんだ。『新聞紙』を作るのはもう真っ平だ。忙しさに紛れて見えないだけだ。北関は死に掛けている。上の連中の玩具にされて腐りかけているんだ。この投稿を握り潰したら、お前ら一生、『新聞紙』を作り続けることになるぞ」
そう、メディアとはコンテンツ。アウトプットよりアウトカム。このセリフ、いいよね。
タイトル通り、山のシーンも有り。これはどちらかというと家族との葛藤。父親、夫、サラリーマン、新聞記者、全権デスクとさまざまな立場で揺れる主人公に感情移入いたしました〜。
クライマーズ・ハイ (文春文庫)
クライマーズ・ハイ (文春文庫)横山 秀夫

文藝春秋 2006-06-10
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