もしもあなたが猫だったら?/竹内薫

もしもあなたが猫だったら?―「思考実験」が判断力をみがく (中公新書)』を読んだよ。思考実験できる人間の脳って凄い。

副題は“「思考実験」が判断力をみがく”で、テーマは「思考実験」。言い換えると脳内シミュレーションなんだけど、これって普段から普通にやっていること。あれこれ迷ったり、判断したりしているしね。
でも、本書で登場する思考実験はちょっと違う。つまりは、物理学者たちの行った思考実験の数々を紹介し、その考え方を説明するもの。だから、題名に違和感有りって感じなんだけど、読後感としては悪くなかったのでこの件は不問。

では、どんな思考実験か?
冒頭は軽く物理学を離れた話題から入る。例えば、鳥。鳥は三次元の生き物。人間は三次元の世界に住んでいるけれども、生き方としては基本は平面だよね。だから、鳥は人間より次元の高い世界に生きているということ。これをちょっと想像するだけで、ある種の思考実験になるわけだよね。

さらに物理学者たちはどんな思考実験を行っているか?いきなり小難しい話になるけど、並行宇宙(マルチバース)と超ひも理論の関係。並行宇宙は観察することができないけど、超ひも理論からは並行宇宙が出てくるっていう話。筆者曰く、

こんな壮大な思考実験は他にないですよ。我々の存在、いや、この宇宙の存在について、どう考えるか、ということなんですから。
と。思考実験っていう問題より、アッシ的には人間の脳ってどこまで凄いんだって感じ。

この後は、量子、テレポーテーション、エントロピー相対性理論など、現代物理学のキーワードが思考実験で導かれる様子を描いているよ。さらに面白いのは、それらがすべて繋がっていること。この繋がりが科学の世界では重要なんだよね。

最後は思考実験の成果について、「モノの世界からコトの世界へ」という思考をまとめているよ。うん、この考え方って好きだし、大事。モノゴトの本質を捉えるって、不動のモノを見るのではなく、そこに現れる現象(コト)を見るべきだからね。これって、本当の科学的見方っていうのかなぁ〜。

もしもあなたが猫だったら?―「思考実験」が判断力をみがく (中公新書)
もしもあなたが猫だったら?―「思考実験」が判断力をみがく (中公新書)竹内 薫

中央公論新社 2007-12
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