ハチはなぜ大量死したのか/ローワン・ジェイコブセン

ハチはなぜ大量死したのか (文春文庫)』を読んだよ。ミツバチを飼ってみたい。

科学読み物シリーズ(って勝手に自分が名付けているだけだけど)の今回はミツバチ編。
原題は「実りなき秋」(Fruitless Fall)と名付けられ、蜂群崩壊症候群(CCD)と呼ばれる奇妙な病気について書かれたもの。病気っていうより事象として捉えた方が、本書の内容としては正しいかも。
では、このCCDとは何か。物語は2006年の秋、米国フロリダから始まる突然のミツバチの大量死。ある養蜂家での出来事が各地で発生していることが分かる。結果的には北半球の四分の一のミツバチが消滅してしまう。しかも、死骸なども無く。
これはちょっとしたミステリーというわけで、その操作が各地で始まる。

本書のストーリーとしては、犯人捜しの前にまずはミツバチについて知ることを先行する。その生態は一言でいうと集団としての知性。ミツバチ単体ではちっぽけな知性だけど、その集団行動たるや、まさに知性が存在するかのように振る舞うというわけ。

中盤からはいよいよ犯人捜し。ダニ説、ウィルス説、農薬説、それがさらに複合化される上に、ミツバチの輸出入問題も絡んできて、試行錯誤が続く。これに対して、筆者は、

これは解決策なのだろうか?それとも、破裂しかかっているシステムをバンドエイドで補修するようなものなのだろうか?おそらく私たちは重大な問題を問う時期にきているのだろう。もしかしたら、システム自体をあきらめるべきではないのかと。
と問いかける。そう、すべてが対処療法という問題点。

では、その解決策はあるのだろうか。本書には決定的な解はないけれども、そのヒントは十分に書かれているよ。その詳細は本書を読んでいただくとして、例えばの話として『奇跡のリンゴ』がそれに近いような。そう、ミツバチの集団としての知性に還ると言えばいいかも。本文を読み切ってみると、巻末の福岡ハカセの解説は不要だったかなぁ〜と思えるほど、本文の方がよく分かった!!という読後感でした〜。

ハチはなぜ大量死したのか (文春文庫)
ハチはなぜ大量死したのか (文春文庫)ローワン ジェイコブセン 福岡 伸一 Rowan Jacobsen

文藝春秋 2011-07-08
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