美丘/石田衣良

美丘 角川文庫』を読んだよ。人生に迷いなどない。

作家石田衣良の作品はたぶん初めて。順序的には『池袋ウエストゲートパーク』から入るんだろうけど、まぁそれはいいか…。たまたま、電子書籍が安かったので。ということで、今回は電子版。

題名の「美丘」とは主人公の女性の名前。ミオカと読むよ。この女子大生である美丘を中心に、太一という男子学生が絡んできて、その他諸々の男女大学生たちの物語。
恋愛小説と言ってしまえばそれまでだけど、テーマは命と考えるとこの物語の重みが感じられるよ。

例えば、プロローグでは、

命は火のついた導火線で、ためらっている余裕など誰にもないはずなのだ。
という太一の思いが綴られる。これが、この物語のエッセンスかもしれないね。

そして、中盤でも、

きみが命の火を燃やして、ぼくに教えてくれたのは、いつだって今を生きること、それだけだった。
と太一の思い。命に火をつけるという表現って、すごく真剣に生きるってこと。普通、命に向き合って生きているかというとそうでもなく、その日その日を何気なく過ごしてしまっているよね。でも、この物語ではその真剣さに触れる体験ができる。それほど真剣に生きることができないけど、仮想で体験するのも悪くないよね。

最後は涙が出るかと予想していたけど、逆にそれ以上のなんとも言えない生きる力をもらったような読後感でした〜。

美丘 角川文庫
美丘 角川文庫石田 衣良

KADOKAWA / 角川書店 2009-02-25
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