世界を変えた10冊の本/池上彰

世界を変えた10冊の本 (文春文庫)』を読んだよ。書物の影響力は偉大だ。

ご存知、池上彰氏が厳選する10冊の本を紹介するのが本書。テーマは「世界を変える」。もう少し説明すると、その本によって影響を受けた人たちが大勢いて、それによって具体的な行動を起こすことで、世界が変わったほどの波及があったということ。それは、宗教書であったり、経済理論であったり、科学書であったり。

ちょっとだけ毛色が違うのが冒頭の『アンネの日記』。最近、この本が破られる事件が話題になっているけれども…。で、池上氏の云う『アンネの日記』のポイントは、イスラエルという国。そして、現在の国際問題としてパレスチナの人々との関係。

アンネの日記』によって、中東世界は大きく変わりました。ところが、それによって苦しむ子供たちがいるのも、事実なのです。
と、パレスチナの人々の中に第二のアンネがいても不思議はないと云う。歴史は繰り返すのか…。

宗教書については、『聖書』、『コーラン』、『道しるべ』の3冊を紹介しているよ。ユダヤ教キリスト教イスラム教のどれもが一神教なわけだけれども、根本的な共通点は、

三つの宗教とも、世界を創造した唯一絶対の神を信じる。つまり、三つの宗教の神様は、同じなのです。
ということ。それでも、考え方の違いによって、全く違う方向に行ってしまう。それがこの3冊の本の影響なんだよね。

経済理論については、ウェーバーマルクスケインズフリードマンの四者。
ウェーバーは宗教論から経済を考えたけど、あとの三者は純粋に経済を考えた。そして、それぞれが徹底的に自分の理論を中心に据えた本を出すわけ。それが世界を変えていく。マルクスの『資本論』は有名すぎる。そして、ケインズフリードマンは現代でも生きている理論だよね。つまりは、

ケインズが、政府の役割である財政政策に重きを置いたのに対し、フリードマンは、中央銀行の役割つまり金融政策を重視したのです。
と。これは大きな政府と小さな政府の概念と同じ。どちらがいいという問題ではなく、主義主張。そして、時の政府によって、どちらに重点を置くかなんだよね。

おっと、政策の話ではなく、本の話。これだけ世界に影響を与えた本。いや、本であるから影響が大きかったんだと思う。同じメディアでも、やっぱり本て凄いと思う。

世界を変えた10冊の本 (文春文庫)
世界を変えた10冊の本 (文春文庫)池上 彰

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