偉大な数学者たち/岩田義一

偉大な数学者たち (ちくま学芸文庫)』を読んだよ。やっぱり楽しい数学史。

本書の初版は1950年というから、かなり昔の本。それが私家版を経て、文庫化されたものが今回アッシが読んだもの。筆者は当然ながら戦前の生まれの人だし、時代も時代なので、日本語としてちょっと読みにくいものがあるかも。文章がブツ切りというか、素っ気ないというか…。

とは言え、肝心なのは中身。
有り体に言ってしまえば、単なる数学史ってことになってしまうけど、どの数学史本も数学に対して注ぎ込む人間の情熱をいかに表現するかという点で差異があるわけ。で、本書のそれは「狂熱」というキーワードでまとめているよ。「熱狂」ではなく「狂熱」。後者の方がその度合いが激しいような…。まぁ、それだけの心血を注ぎ込まなければ、数学の世界は広がらないんだろうけど。

そして、一人の数学者の「狂熱」だけで、数学が成立しているわけではなく、数学者たちの「狂熱」が積み重なってその発展があるわけ。これを、

先にあげた人たちはみなこの高原にキャンプをはり、そこを足だまりにして、さらに高い山々、白雪に輝く処女峰へ、雲にとざされた孤独な峰へ、一つの足場もない切り立った岩壁へとそれぞれ登っていったのであった。
という例えで表現しているよ。そう、先人たちが土台を作り、そこに登ることで次の高みに達する、その繰り返しなんだよね。でも、それはどこまでも登らなくてはいけない高みなんだろうけど。

最後は、数学そのものについて。

数学の真理はいかなる言葉で書かれようと、決してその美しさを減じない。
と。やっぱり登場する「美しさ」。この言葉をおいて、数学を適切に表現する言葉は見つからないんだろうね。それに魅せられて、数学者は「狂熱」するんだよね。数学では「狂熱」できないから、本書を読んで「熱」くらいにはなっているかなぁ〜。
偉大な数学者たち (ちくま学芸文庫)
偉大な数学者たち (ちくま学芸文庫)岩田 義一

筑摩書房 2006-12
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