学校って何だろう/苅谷剛彦

学校って何だろう―教育の社会学入門 (ちくま文庫)』を読んだよ。まじめに考えたことはないけれど。

本書の元々は、毎日中学生新聞に連載していたもの。だから、読者の対象を中学生に想定して、「学校って何だろう」を読者と一緒に考えていこうという本になっているよ。
とは言っても、やみくもに考えてみても発想が浮かばないと思うので、その基軸として登場するのが、社会との繋がり。だからは、副題が「教育の社会学入門」なんだろうね。

そう、学校って閉鎖的で社会との関係を意識しにくい組織のような感じがするんだけど、本来はそうではないはず。過去をみても、社会との関係で学校の仕組みや役割って変わってきているわけだし。それをストレートに中学生に言っても、ピンとはこないだろうからね。

で、改めて学校のことを考えてみると、凄いことが分かってくる。例えば、日本全国で幼稚園から大学までの学校は6万校以上、そこでは2000万人以上が毎日勉強しているってこと。これだけの仕組みがあって、個々はともかく、それが「あたりまえ」に活動しているってことが凄いこと。
この「あたりまえ」が本書のキーワード。どうして、こんなに凄いことが「あたりまえ」に出来ているのか。それを知ることが学校の秘密を探ることになると筆者。そして、それを中学生の読者と一緒に考えていこうという筆者の問い掛けもあるよ。

「教室」という教育システムの発明の話から始まって、校則、教科書、カリキュラム、先生の仕事、生徒の世界を見ていき、最後はやっぱり社会との関わり。

毎年、26兆円投資される日本の学校。これだけの教育システムを持っている国はそれほど多くはない訳で、世界的に見たら「あたりまえ」ではないよね。恵まれていると言えるわけ。そんな環境において、筆者は

自分に何ができるのか。学校という世界をどのように利用して、自分にできることを増やしていくのか。それは、人から教えられることではなく、自分の目でしっかりと世界を見て、自分の頭で考えはじめたときにわかってくるはずです。
と言う。そう、自分の頭で考える。教育の基本ってここにあるんじゃないかなぁ〜。それを言いたいがために、身近な学校を題材にしたのかもしれないね。
学校って何だろう―教育の社会学入門 (ちくま文庫)
学校って何だろう―教育の社会学入門 (ちくま文庫)苅谷 剛彦

筑摩書房 2005-12
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