ポアンカレ予想/ジョージ G.スピーロ

ポアンカレ予想―世紀の謎を掛けた数学者、解き明かした数学者』を読んだよ。これも数学か…。

2007年に放送されたNHKスペシャルの番組「100年の難問はなぜ解けたのか〜天才数学者 失踪の謎〜」を見て以来、気になっていた「ポアンカレ予想」。
ポアンカレ予想」に関連する本が幾つか出ているけれども、どれも分厚く、遅読のアッシには図書館の貸出期間に読み終えるのかがポイント。とは言え、借りてしまえば読むしかない。ということで、1週間かけて読了。ほとんどが休みの日に集中的に読んだんだけど。

本書の前半は「ポアンカレ予想」にその提唱者であるフランスの数学者ポアンカレが辿り着くまでの物語。
で、彼が考えたトポロジーという数学の概念。これがまったく奇妙なもの。トポロジーの研究者は、立方体を見せられて、これは何かと尋ねられると、「それは球です。」と答えるのだと。

トポロジストには、興味の対象となる物体の角度も距離も、形状の細かな特徴も目に入らない−というか、存在しないのである。
と本書では説明しているけど、ここだけ読んでもなんだかさっぱり分からないはず。
分からないということを見越しているのか、ちょうど「ポアンカレ予想」そのものが見えてくる直前で、
ついてこれでいるだろうか?たとえだめでも、トポロジーという学問のひとつの魅力が、その独特のわけのわからなさだということを覚えておこう。
と筆者。いや、数学の素養のない読者やこの文を読む前に本書を投げ出していると思うよ。そして、我慢してここまで読んできた読者は気持ちが一気に楽になって、難しい箇所は読み飛ばす勇気を貰ったのではないかなぁ〜。

さて、そのポアンカレ予想。本書によると、

多様体の基本群が自明であり、かつその多様体が球面と同相でないことがありうるだろうか”
というもの。この微妙な言い回し、どこかで聞いたことがないだろうか。そう、フェルマーの定理に似てないか?このシンプルな問いが世界の数学者を100年もの間、悩ませ続け、そこに諸々の人間ドラマが生まれる。

後半は、その人間ドラマの数々。ペレルマンの話が中心になるかと思っていたけど、さにあらず。そう、ペレルマンの登場以前の人間ドラマも膨大だよ。ペレルマン登場に至っても、彼の性格から派生する様々な物語が展開するわけで…。

後半の数学的な記述は、ほとんど分からず。そこはさっと流し読みしても、この膨大な物語は読む価値があるよ。人間の営み、魅力が満載だからね。

ポアンカレ予想―世紀の謎を掛けた数学者、解き明かした数学者
ポアンカレ予想―世紀の謎を掛けた数学者、解き明かした数学者ジョージ G.スピーロ 志摩 亜希子

早川書房 2007-12-19
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