夢中になる!江戸の数学/桜井進

夢中になる!江戸の数学 (集英社文庫 さ)』を読んだよ。趣味としての数学。

『天地明察』に続き、和算に関するもの。ちょっと前から、本屋ではちょっとした和算ブームだったかも。そんな流れの中での『天地明察』だから、ちょっとした便乗ものかもしれないけど。それに乗ってしまうアッシは単なる数学好き。

では、和算とはいったい何だったのだろうか?単なる江戸時代の数学なのか?いや、そうではない。これだけ庶民に浸透した精神活動は何だったのだろうか?そこで、筆者は、建部賢弘の次の言葉を上げているよ。

「算数の心に従うときは泰し、従わざるときは苦しむ」
算数の心って何だろ。単なる問題を解くのとは違う道があるのだと思う。だから、筆者は「数学道」という言葉も使っているよ。

さて、和算と言えば、その第一人者は関孝和。その代表的な著書は『塵劫記』。この『塵劫記』は江戸文化の誕生を促したという。それは多色刷りの技術革新。関孝和はコピー防止のために多色刷りを発明したんだけれども、それの技術が浮世絵の版画に応用されたという。うん、凄い。数学書としても凄いんだろうけど、単なる数学書ではなかったわけか。

では、江戸庶民の数学の実力はどうだったのか?なんと、ふつうの庶民が8次方程式に取り組んでいたとか。算木と算盤が優れた計算道具だったというのもあるようだけど、これは現代の日本人では考えられないかも。無駄なことはやらない、役に立たないことはやりたくないのが現代学生気質の典型だからね。

そして、和算の終焉。明治政府は学校教育に洋算を採用したわけだけど、和算は全く役に立たなかったのか?当然、和算家たちの素養は洋算においても役に立つ。

塵劫記』から250年、関孝和の活躍から200年という長い年月の中で培われてきた和算の歴史があったからこそ、明治維新は成功したと言ってもいいだろう。
と筆者。うん、数学って、役に立つって思って勉強するものではないのかも。素直な好奇心から発するものなんだよね。好奇心旺盛な日本人だからこそ、鎖国の間でも、あれだかの発展があったんだよね。いいなぁ〜、和算
夢中になる!江戸の数学 (集英社文庫 さ)
夢中になる!江戸の数学 (集英社文庫 さ)桜井 進

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