街場の中国論/内田樹

増補版 街場の中国論』を読んだよ。中国のことは中国人にしか分からない。

内田先生の街場シリーズ、かれこれ何冊目だろう。内容的には、あの大ベストセラー『日本辺境論』と重複する部分もあるけど、それは「辺境」とは中華からの視点の言葉だから。今回読んだものは増補版で、初版は2007年だから、『日本辺境論』の原点は本書の初版にあったのかもしれないね。しかも、2007年にも尖閣諸島問題が起きていて、中国国内では日本企業や店舗が襲撃されていた時期だったから、注目度は高かったはず。そして、この増補版が出たのが2011年6月。今日も、本屋では本書がたくさん並んでいたっけ。

さて、本書は当然ながら、内田先生の考える中国論なんだけど、その視点に注目。日本人は中国人は何を考えているのか理解できない。訳が分からないと思っているわけで、そこを解明したいというのが本書はねらい。
内田先生曰く、

僕たちの眼から見て理不尽なふるまいに見えても、中国人にとっては主観的には合理的なもののはずなのです。どういう文脈の中に置けば、この「意味のわからないふるまい」が合理的なものとして立ち現われてくるか、その文脈を探り当てることがこの本における僕の主要な関心事でした。
と。そう、これってアッシ知りたいこと。あらゆる日本人の関心事のような気がするけど。う〜ん、日本の歴史は中国との関わりが大きかった訳で、日本人の心の底流には、中国の存在が離れないのではないか…なんて気もする。

では、中国人の不思議なロジックとは何だろうか?それは、「中華思想」をベースにしたイデオロギー中国共産党の指導者の行動を中華思想に当てはめてみると、ピタリと嵌るから面白い。それを考えると、単純で分かりやすい思想なのかもしれないね。

もう一つはサイズの問題。13億人という総人口を抱え、日本人より多い人口の他民族を含む中国。全体を統括するには日本人の感覚では想像を超えるものがあるのでは…。例えば、毛沢東について。

毛沢東はつねに「話を異常に簡単にする」ことで、国民的エネルギーを動員することに繰り返し成功した。どのような制度的難問も主体の断固たる革命的決意のひとつでどうにでもなると信じさせる能力において、毛沢東は世界史上有数の天才でしょう。
と表現しているよ。話を簡単にするすること以外で、13億人を動かす手法は考えられないよね。そういえば、かつて日本の総理大臣にもそんな人がいたっけ。「郵政は、民か官か」って。話はすごく単純だよね。

最後は近代史。植民地化とか、アメリカとの関係とか。グローバル化中華思想は全く相入れない思想だけど、内田先生の提案はどちからというと中華思想派。

だから、「儒教に還ろう」と僕はご提案申し上げているわけです。グローバリズムはもう止めて。
と言う。

うん、内田先生の言うことはよく分かる。でも、やっぱり中国って国はよく分からないんだよなぁ〜。それはアッシが単にそう教育を受けてきたからという理由だけなのかなぁ〜。

増補版 街場の中国論
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