天地明察/冲方丁

天地明察』を読んだよ。一生を掛けた仕事。

昨今、映画化された本書。単行本が出た当時から気になってはいたんだけど、500頁近い分量にちょっと手が出ない感じだった。で、文庫版も出て、単行本も借り時になった感じなので、意を決して図書館に予約。

アッシにしては、珍しい時代小説。時は四代将軍から五代将軍に掛けての江戸時代。800年も使われていた宣明暦という暦が間違っていることを指摘し、正しい暦に改暦する仕事に一生を掛けた男の話。これだけでも、男のロマンなんだけど、それにプラスして数学の話題。数学っていうより、算術。後には和算になるんだけど、そういう話題が散りばめられていて、何とも嬉しい感じ。

主人公の渋川春海は御城の碁打ち衆。それでも、算術を趣味とし、本業よりも算術に興味を移していく。次第に、その才能を知られるようになり、北極出地といわれる天体観測や測量で算術の技能を発揮していく。
その間に、あの有名な関孝和に対して、算術での勝負を挑んだりしながら、算術の腕も磨いていく。
物語の最後は、改暦に成功するか否かというところなんだけど、これはクライマックスなので、本書を読んでいただくのがよろしいかと。

渋川春海の成長と時代の変化、技術の進歩、政治との関連など、長編小説ならではの、ダイナミックさでグイグイ読ませる感じもいいよ。
科学の進歩は思想をも変化させるわけなんだけど、武士の思想から民衆の思想への変化の時代をこの小説で表現したんだろうね。そういう意味でもよい小説でした〜。

天地明察
天地明察冲方

角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-12-01
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