キュレーションの時代/佐々木俊尚

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)』を読んだよ。キュレーターという言葉は知っていたけど。

キュレーターは、一般的には美術館などでの展示を企画する人のこと。あるTV番組で、キュレーターという職業を紹介していたことがあり、言葉だけは知っていた。でも、具体的にそのイメージは掴んでいなかったけど。

さて、本書。本文は長いけど、キーワードとしては、「情報のビオトープ化」。要は、情報のマス消費の時代は終わり、言い方は悪いけど、ある意味「オタク化」してきているということ。そのオタクのたまり場が、ビオトープ。今やInternet上には、このビオトープがあちこちにできていて、マスコミが流通させる情報以上の情報が流れ込んできているわけ。
筆者は、

だからマスメディアが演出した記号消費がなくなっていく世界では、モノの消費はふたつの方向へと分化していく。
消費が本来生息していたなつかしい場所、シンプルな「機能消費」の古巣へ。
そして新たな「つながり消費」の世界へ。
マスメディアの衰退とともに記号消費は消滅していき、二十一世紀は「機能消費」と「つながり消費」に二分された新しい世界が幕を開けるのです。

と言う。機能だけを消費し、ブランド(記号)には消費しないという訳。現代人には十分に理解できるのが現状だよね。

もう一つのキーワードが「視座へのチェックイン」。コンテンツよりもコンテキスト。情報過多の時代、いかにして自分に本当に必要な情報に辿り着くのかを考えた時に、情報のビオトープの中に、自分の視座にあったものがあれば、それにチェックインすればよい。

キーワードやジャンルや場所のような無機物を視点にする限り、斬新な情報はなかなか入ってこない。でも他者の視座にチェックインして、その人たちの視点で世界を見ていくと、鮮やかな新情報が次々と流れ込んでくる。

と。そして、キュレーターとは、自らその視座になる人のことをいう。単なるエディターとの違いはここにあるんだろうね。

さらに驚くことに、Internetを使う全ての人たちが、キュレーターに成り得るということ。コンテンツしか流していなかったのが、いつの間にかコンテキストを流していたなんてことが、十分に考えられるんだよね。それを思うとInternetの凄さって、我々には計り知れないものがあるんだよね。未来が楽しみだなぁ〜。

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)
キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)佐々木 俊尚

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