高校生が読んでいる『武士道』/大森恵子

高校生が読んでいる『武士道』 (角川oneテーマ21)』を読んだよ。高校生が読んでいるのに、おじさんが読んでいないから。

かの藤原正彦先生の著書に、新渡戸稲造の『武士道』を学生に読ませる話が書いてあって、それ以来気になっている『武士道』。矢内原忠雄氏の訳で岩波文庫から出ているのが有名どころなんだろうけど、実際にそれを手にとってみると、とてもささっと読めそうな感じがせず、アッシの読みたい本リストにはあるんだけど、どうしても手が出なかった1冊なわけ。
そんな訳で、本書を書店で見かけた時は、お〜っ、これなら読んでみる気になるかも〜という感じで、図書館を検索して予約。

さて、本書。
元々の『武士道』は英語で書かれたものだから、本書は、筆者が翻訳したものと、それに対する筆者の自分なりの考えと解説をまとめたもの。

さて、中身にいこう。
まずは、新渡戸がこの『武士道』を書くことになった動機。これには、ベルギーの法学者に問いかけられた言葉から始まるよ。

アメリカで新渡戸に『武士道』を書かせた直接の動機は、この時のラヴレー教授の「宗教教育がないのなら、学校では道徳をどうして教えるのか」というヨーロッパ人としての素朴な質問に答えることであった。
ということ。確かに、西欧の人々にとっては、不思議な感覚なんだろうね。宗教=道徳の世界ではなく、宗教とは独立して道徳感があるんだからね。

そして、『武士道』とは何だったのか?筆者は、

彼は経典なき宗教としての「武士道」を、経典のある宗教で育まれた西洋人に説明しようと試みた。新渡戸が体系化されていないその日本宗教、「武士道」を成文化し体系化を試みた書こそ『武士道』であると言える。
と解説しているよ。

さて、『武士道』に書かれている個別のことは実際に読んでみるのがよいとして、新渡戸の思いの根底にあったものは何か。
それは、日本文化にも西洋文化にも共通する精神があるということを伝えたかったという点。まさに、アッシがいつも考えている「橋を掛ける」というキーワードだよね。「橋を掛ける」という仕事。知識の広がりだけではなく、考え方の広がりを持つことで、新たな展開が見えてくるんだよね。
その前提があって、今の我々が生きているということを考えると、先達の功績に感謝だね。

高校生が読んでいる『武士道』 (角川oneテーマ21)
高校生が読んでいる『武士道』 (角川oneテーマ21)大森 恵子

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