シェア/レイチェル・ボッツマン,ルー・ロジャース
『シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略』を読んだよ。モノはもういらない。
『フリー』もそうだったけど、このNHK出版の本はなんとなくシリーズ化している感じ。装丁も似たような感じだし。
さて、シェアの話。日本語で言うと共有。共有するということは、モノを所有しないということ。物質文明にどっぷり浸っている我々にそんなことができるのだろうか。それが、今実際にInternetの力を借りて、実現してきているという、そんなお話。
で、本書は、まずはいままでの消費社会を振り返る。例えば、「太平洋ゴミベルト」の話。使い捨てられたモノがゴミとして浮遊する海の地帯。そして、ハイパー消費という言葉。モノを所有させることで満足されるという。そして、人々はそれが唯一のモノに対する満足であったわけ。しかし、このハイパー消費という“病気”は治せると筆者。
コンシューマリズムのシステムは、現代の生活において動かしがたい現実のように見える。でも、そうではない。このシステムが人工的につくられたということは、この力を別の形に変えれば、より健全で持続可能なシステムができ、モノを買う以上に満足できるゴールをもてるということだ。では、ハイパー消費に替わる概念は何か?本書ではそれを「コラボ消費」という。これがまさに共有を実現する概念。でも、その概念は分かりやすいよ。それは以前から人々が行ってきたことだから。
昔ながらの共有、物々交換、貸し出し、売買、借り入れ、贈与、そしてスワップこれが、テクノロジーによって、新たな形に生まれ変わったのが「コラボ消費」であるという。
コラボ消費によって、人々はモノやサービスを所有せずに利用することの莫大なメリットに気づいただけでなく、同時にお金や空間、時間を節約できることも、新しい友人をつくれることも、活発な市民に戻ることができることにも気がついた。さらには、過剰消費がなくなることで、環境にも大きく貢献する。本書では、サスティナブルという言葉も頻出しているよ。
では、どんな事例があるのか。この事例が山ほど書かれているわけなんだけど、それは本書を読んでいただくということで。
とにかく、欧米諸国ではコラボ消費の概念がかなり進んでいるみたい。日本でもその幾つかのパターンが実現されているけれども、どうなんだろ。
昔からのお隣さん同士という概念は、日本の方が強いような気もするので、場合によってはあっという間に普及する可能性もあるよね。
そして、この経済成長の低迷。GDPはモノを生産してナンボの世界な訳で、もうGDPにこだわるのは止めようよとも言っている。人々は別の世界に価値を見出し始めているんだからね。頭の固い人たちには分からないんだろうなぁ〜。
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