サヨナラ、学校化社会/上野千鶴子

サヨナラ、学校化社会 (ちくま文庫)』を読んだよ。学校、それはますます不思議なところ。

お初の上野千鶴子氏。以前から気になってはいたんだけど、ジェンダー論とかはアッシらしくないような気もしていて…。でも、タイトルに「学校」とあれば、少しはアッシっぽい感じもして、すぐに読むことに決定。きっかけは意外に単純だよね。

まずは、まさに「学校」について。
ひとつは、学校は階層差を正当化する装置と定義。キャリアとノンキャリアを例に上げ、

その身分差が学校という装置をくぐることで本人にも納得され、社会的にも正当化されるのです。
と言う。
もうひとつは、学校的価値の社会への浸透。学校的価値とは、明日のために今日はがまんをするという「未来志向」と「ガンバリズム」、そして「偏差値一元主義」であると。
その学校的価値が学校空間からあふれ出し、にじみ出し、それ以外の社会にも浸透していった。これを「学校化社会」と言います。
そう、個性を尊重と言いながらも、最後は偏差値でひとくくり。まったく抜け出せていないよね。
そこから生まれる結論は、敗者の不満、勝者の不安という誰もハッピーにならない社会だと上野先生。学校化社会にどっぷり浸かっているとそういう視点はまったく見えないよね。見えないだけじゃなくて、それでよいと思ってしまうよね。

そして、教育システムの問題。
価値や情報は、落差から生まれるものであると。つまりは、今の教育システムは同質性が尊重され、人と同じことをやればほめられ、違うことをやる人は排除される。これではなんの価値も生まれない。異質性の中にこそ、情報が生まれるのだという理論を展開しているよ。そこで出てくるのは、学校のダウンサイジング。つまりは、授業に集中せよとの提言。やっぱり、ここでも登場したよね、この意見。池上彰氏しかり、藤原和博氏しかり。

期待通り、上野先生、面白かったよ。それは、学校化社会にどっぷり浸かっているアッシだから、その視点の違いに気づかせてくれたことが要因なんだろうね。

サヨナラ、学校化社会 (ちくま文庫)
サヨナラ、学校化社会 (ちくま文庫)上野 千鶴子

筑摩書房 2008-10-08
売り上げランキング : 45438

おすすめ平均 star
star文庫化により、益々軽快に!
star教育の疑問の数々
star平たく言うと

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ