極北に駆ける/植村直己

極北に駆ける (yama‐kei classics)』を読んだよ。植村直己に心陶中。

『青春を山に賭けて』ですっかり植村直己に心を奪われたアッシ。引き続いて読む本としては、その後の彼の行動。ということで、1年間のグリーンランド滞在の記録である本書を選択。
元々は南極大陸横断の夢があって、その目的を達成する為の訓練として、グリーンランドが選ばれたわけ。そして、この地では、厳しい極地気候への順化能力と犬橇技術の会得を中心に活動する。

まずはグリーンランドってどこにあるの?っていう感じだけど、カナダの北東、北欧の北西って言えば分かりやすいかも。どちらにしても北は確か。ほとんど北極圏かも。
そして、そのグリーンランドの北西シオラパルクという部落が植村の生活の場となる。ここは北極点まで1300キロという世界最北のエスキモー部落。

で、前半はここでの生活が話の中心になるよ。
衣食住の全てが驚きの連続。特に食。生肉をナイフで切り取って口に放りこむだけの食事。さすがの植村も最初の一口は胃から食べたものが逆流しそうになる。いや、逆流してけど、必死に我慢。それも、エスキモーと仲良くなるため。彼らしいね。
そして、気候。11月になると太陽が出なくなる。太陽が出る最後の日にアザラシ狩りに出かける。その時の太陽の様子を

赤く焼けたお盆のような太陽は、昇るでもなく沈むでもなく、ただ南のほうへ横にころがっていくだけだ。
と表現する。酷暑の今年、太陽のありがたさが身に沁みる…。

グリーンランドの生活の総仕上げとして、犬橇単独行3000キロに挑戦する。
何が一番大変かと言うと、それは犬のコントロール。調子が悪いと全く走らなかったり、勝手気ままな方向に引っ張ったりと。
犬橇行の復路、食料が尽き、犬を殺すしか選択肢が無くなっても、植村は犬を殺すことができない。

アムンゼンにしてもナンセンにしても、さらにここのエスキモーにしても、犬を殺すことなど当たり前のことであった。シオラパルクでの生活ですっかりエスキモーのなかにとけこむことができたと思っていたのだが、犬についての考え方は、まったく日本人のそれを抜け出していないことが良くわかった。
と植村。さすがの彼も最後は日本人…。

エスキモーの生活や犬橇行はアッシにはとてもできそうにないけれども、現地の人たちの交流もまた楽しく、冒険という夢を見させてくれる植村直己に感謝です〜。

極北に駆ける (yama‐kei classics)
極北に駆ける (yama‐kei classics)植村 直己

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