ビーグル号世界周航記/チャールズ・ロバート・ダーウィン

ビーグル号世界周航記――ダーウィンは何をみたか (講談社学術文庫)』を読んだよ。ダーウィン原著への第一歩として。

ダーウィンの著作としては、『ビーグル号航海記』があるけれども、訳者氏曰く、学術的で読みにくいとか。で、本書は1880年アメリカの書店から刊行されたもののの訳本で、『ビーグル号航海記』やその他の著書から抜粋し、子供向けに編集したもの。だから、厳密な意味ではダーウィンの著作とは言えないんだけど。
それでも、アッシにとっては、憧れのダーウィンの著作に近づける第一歩の本ということになるわけ。

本書は4章構成。4つのカテゴリ毎の章立てになっているよ。
で、第1章のテーマは動物。トカゲの生態の観察の場面にダーウィンらしい記述があるよ。
水中を泳ぐことが出来るのに、積極的には陸(海岸)に留まろうとするトカゲ。海に放り投げても、直ぐに岸に戻って来る。これを、

この爬虫類が海岸ではまったく敵がいないのに、海ではときどき多数のフカの餌食にされてしまわねばならないという事実から説明されるであろう。
と言い、遺伝的本能であると説明しているよ。それにしても、あのダーウィンがトカゲを捕まえて海に放り投げる姿は想像できないなぁ〜。

第2章のテーマは人類。
ここでは、奴隷に対する白人達の極悪非道ぶりをダーウィンは嘆く。奴隷への対応を許されるべき弊害だと論じる人達に対して非難の声を上げる。

われわれイギリス人が、またわれわれのアメリカにいる子孫がおこがましくも自由を叫びながら、こういう罪を犯してきたし、また現に犯しているのを考えると、私の血は沸きたち、心はふるえる。
と言う。生物の進化を考えれば、黒人も白人もひとつのヒト種という種であることを直感的に理解していたんだろうね。

第3章は地理、第4章は自然について。
第4章では、地震の話題から始まって、火山と大陸隆起の関係性まで着目しているよ。

ゆっくりと、しかも少しずつ大陸を隆起させる力と次々につづいて開いた火口からの火山性物質を吐き出す力とは同種のものであるという結論にわれわれは確信を持って到達するであろう。
ここにも、ダーウィンの洞察力の高さが伺えるよね。進化論だけではなく、まさに先見の明がある科学者だったんだよね。

アッシ的にはカテゴリ毎の章立てだったのが、残念。博物事典を読んでいる感じだったし。周航記っていうくらいだから、時系列ならば、地理的な位置がイメージできて分かりやすかったと思うんだけど…。元々、子供向けの本だから、それはそれで仕方がないのかも知れないけど。訳もアッシ好みじゃなかったなぁ〜。

ビーグル号世界周航記――ダーウィンは何をみたか (講談社学術文庫)
ビーグル号世界周航記――ダーウィンは何をみたか (講談社学術文庫)荒川 秀俊

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