哲学的な何か、あと数学とか/飲茶
『哲学的な何か、あと数学とか』を読んだよ。数学の問題を解く時のワクワク感を再び。
図書館に行くと必ず立ち寄るのが、自然科学の書棚。科学一般から始まって、数学、物理、化学、生物とざっと回る。ある日、数学のコーナーで「哲学」という文字も見つけて、ふと手にしたのが本書。かろうじて数学という文字を含んでいるけれども、タイトル的にはおまけっぽい。
でも、中をパラパラとめくってみると、書かれている内容は「フェルマーの最終定理」。お〜、あの「フェルマーの最終定理」がもう一度読めるというワクワク感でいっぱいになったアッシ。
さて、本書。
基本的にはサイモン・シンの『フェルマーの最終定理』と同様なストーリー。数学史に基づいた史実だからね。
ちょっとした脚色として、数学の未解決問題を「悪魔」に見立てたこと。それは、
そいつは、人々の好奇心を刺激し、学問の発展を担う一方で、しばしば、人々を魅了し狂わせ、数多くの人間の人生を飲み込んできた。フェルマーの最終定理は、そのなかで、もっとも恐ろしく強大な力を持つ悪魔である。と表現する。そして、悪魔は容赦しない。解けそうで解けないフェルマーの最終定理。解けそうになると、次から次へと難問を振りかざし、人々の行く手を遮る。それなのに、一生を掛けて、この難問に取り組む数学者がいる。人生の最後までこの悪魔と闘って、死んでいく。
悪魔と闘う数学者たちにさらに水を浴びせかけたのが、「ゲーデルの不完全性定理」。それは、
数学者たちは、「もしかしたら、今使っている数学体系は、明日、矛盾が見つかって崩壊するかもしれない」というリスクを常に背負いながら、数学を続けなければならないのである。という結果をもたらす。これは「フェルマーの最終定理」は、「どんなに頑張っても解けない問題かもしれない。」と同意なわけ。挑戦する気が萎えるし、誰もそれに挑戦するのを薦めない。
そして、本書の中で最大のワクワク感は、ゲルハルト・フライが「谷山=志村予想」と「フェルマーの最終定理」がつなげることを説明した瞬間に最高潮になる。スッキリと美しい論理展開、驚愕の結論。わずか数ページだけど、一気に読み切り、アッシまでも達成感を感じる瞬間。
最後の登場は、ワイルズ。
のちにワイルズは、「谷山=志村予想の証明がフェルマーの最終定理につながるというリベットの証明を聞いたとき、風景が変わった」という言葉を残している。そう、もやもやの中に生きていた人生が一瞬で希望が持てる人生に変わった瞬間だったのかもしれないね。それでも、8年間も考え続ける必要があったんだから…。
「フェルマーの最終定理」という悪魔は倒れたけれども、数学の世界にはまだまだ悪魔が住むという。それでも、悪魔に魅了される数学者たち。またいつか、そんな彼らの冒険譚が読めることにアッシは魅了されています〜。
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