怒る技術/中島義道

怒る技術 (角川文庫)』を読んだよ。いつの間にか怒らない人になっちまった…。

まずはタイトルが刺激的。怒ることに技術が必要なのかとも思うけど、アッシ自身、怒ることが少ないし、周りにも怒る人が少ないような…。特に日本人は怒る人が少ないかも。
だから逆に、いざ怒る段になって、怒り方が分からない…なんてことになる。そこで、中島先生の怒る技術のご指南になるわけ。

まずは、「怒りを感じること」。そう、怒らない人は、怒りを感じでもすぐにそれを放棄してしまう。不快感にしてもそう。その不快感を丹念に追求して、怒りにまで育てるべきであると筆者。さらに究極の提言。

ひとからひどい目に遭ったら、「しかたない」とか「まあいいや」と思うことをやめること。そして、自分の中にうごめく不快感から身を振りほどいて脱出しようとせずに、そこになるべく長く留まるようにすること。
これも難しい技術だけど。

次は、「怒りを育てる技術」。
すべての怒りは絶対的に正しくないのであるから、怒る技術を身につけて(相対的に)正しく怒るように努力すべきではないかと。すべてが相対的。
ここにも相対性理論が…。

「怒りを表現する技術」では、『忠臣蔵』が例示に。

忠臣蔵』に人気があるのは、怒りを表現することが困難であった時代に、二つの対極的な仕方でそれを実行したからだと思います。
と。
浅野内匠頭の短絡的に発散させる怒りと「生き生きとした怒り」を保持しながら、その効果的放出の機会を待ちつづけた赤穂の浪士たち。
う〜む、『忠臣蔵』の人気は、怒れない現代人が怒れる人たちに憧れるという構図のような気もするけど。

さらに「相手に怒りを伝える技術」、「相手の怒りを受け止める技術」と続き、最後が何故か「怒らない技術」の指南。人生が不条理であることを10歳のころから骨身に沁みて感じているという筆者。

他人が思いどおりにならないことは、太古の昔から変わることはない。自分が正しいと確信して何ごとかを説得しようとすればするほど、他人は嫌がる。そして、人間は(私を含めて)自分が現に経験しないことはほとんどわからないほどのバカなのです。他人の苦しみがほとんどわからないほどアホなのです。
と。そう、ここにもバカの壁

怒ることは技術であることがよ〜く分かったよ。技術とは訓練。筆者も何十年も掛かって、この技術を修得したということだから、アッシもこれから訓練すべきだよなぁ〜。そうじゃなくちゃ、残りの人生、つまらないことになるかもしれないなぁ〜。

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