生き物をめぐる4つの「なぜ」

『生き物をめぐる4つの「なぜ」』を読んだよ。生き物の世界は不思議だらけ…。

長谷川先生、お久しぶりです。タイトルは以前からキャッチしていて、気になっていた本だけど、練馬区の図書館には1冊しかなくて、タイミングを見ていたところ、もう1冊増えて2冊になったよう。だからっていうわけじゃないけど、今回やっと読了。

まずは、4つの「なぜ」とは何か。オランダのニコ・ティンバーゲンが言ったことで、動物の行動を理解するためには、4つの違う「なぜ」のすべてを解明しなくてはならないと。「4つのなぜ」とは、
(1)至近要因:その行動が引き起こされている直接の要因は何だろうか
(2)究極要因:その行動は、どのような機能があるから進化したのだろうか
(3)発達要因:その行動は、動物の個体の一生の間に、どのような発達をたどって完成されるのだろうか
(4)系統進化要因:その行動は、その動物の進化の過程で、その祖先型からどのような道筋をたどって出現してきたのだろうか
という4つの疑問。例えば、シジュウカラが春に「ツピーツピー」と鳴くということについては、この4つの要因を調べればその行動を解明することができるのだということになるわけ。

さて、ここまではまだ序論。本書は動物についてのいろいろな不思議をこの4つの「なぜ」を説明することで解説する。

ただ、全体を通して言えるのが、動物の行動の要因を支配するのが繁殖という行為。究極的にはそこに辿り着くのだと思う。だから本書では、冒頭に「雄と雌」の話が出てくるわけ。なぜ有性生殖があるのかを理解しないと、その後の話が理解できないからなんだよね。

もう一つの重要な要因は、ホルモン。テストステロンとかプロラクチンとかいった性ホルモンの働きが行動をコントロールする。勿論、遺伝的な行動要因をあるけれども、遺伝子がホルモンの働きのスイッチをいれるみたい。

最後は人間の道徳性にまで言及。極端な例だけど、人間の道徳という行動も4つの「なぜ」で説明しているよ。

科学の手法は「分けて考える」ことであるけれども、4つくらいに分けると分かりやすくてスッキリするのかも。遺伝、ホルモン、進化論など、様々な科学が登場して、アッシの理系魂を喚起する楽しいお話でした〜。

生き物をめぐる4つの「なぜ」 (集英社新書)
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