ユビキタスとは何か

ユビキタスとは何か』を読んだよ。何かっていうより、筆者の構想の披露。

筆者の坂村先生。TRONの開発で有名だけど、ユビキタス構想にも関与していたとは。組み込みOSには利用されているというTRON。つまりは、TRONユビキタスが一体化しているのだろうと思う。本文ではTRONの話はほとんど出てこないけど。

本書は大きく分けて、前半は技術的な側面から、後半は社会的な側面からユビキタスを説明しているよ。

で、いきなりユビキタス。いつでもどこでも必要な情報にアクセスできる環境。そのために必要なものはまずすべてのモノを識別するためのコード、uコード。世界中でドンドンと消費するように使っても、使いきれないほどのコード体系を持つという。そして、このuコードをICタグに書き込み、識別するモノに貼付する。さらに、読み取り装置も必要。例として、ユビキタス・コミュニケータという携帯電話風の装置。

もうひとつのポイントは、「ネットワーク外部化」という考え方。つまりは必要な情報はすべてネットワークに繋がれたデータベースに置くということ。と、ここまでは何となく普通のクライアント・サーバ型システムにしか思えないけれど、ユビキタス構想はさらに発展する。
モノ以外にヒト、場所、概念までも、uコードするわけ。さらにそれらのuコードを関連付ける。その関連性もuコードする。それで何ができるか。食品、薬品、建築材料のトレーサビリティなどが紹介されているよ。まさに世界を記述する仕組み。結果的にだけれど、神経細胞網のように見えるものができたことになる。
でも、アッシ的には唯脳論。これで世界を記述できたと言っても、結局は脳の中だけの問題。世界を征服したような気になってはいけないと自分自身を戒める。

後半は、イノベーションとしてのユビキタス。どんなに技術が進歩したとしても制度としてのイノベーションが必要だとの論点。ユビキタスとは、ソーシャル・イノベーションであり、インフラ・イノベーションでもあり。
そして、巨大化し複雑化したシステムは、ベスト・エフォート型に成らざるを得ないという。それは交通事故がゼロにならない道路交通システムと同様だと。

まさに筆者の夢が広がる感じ。そして、アッシにもワクワク感。でも、唯脳論が多少足を引っ張る感じがするのはアッシだけ?

ユビキタスとは何か―情報・技術・人間 (岩波新書)
ユビキタスとは何か―情報・技術・人間 (岩波新書)坂村 健

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