経済学はこう考える

『経済学はこう考える』を読んだよ。まったく縁の無い学問だと思っていたけど。

例によって、ちくまプリマー新書。経済学の本なんて、普通の本なら読む気にはならないと思うけど、ちくまプリマー新書だから読んでみようという気になる。
実際、大学初年度生をターゲットとしているようだから、門外漢のアッシでもまずまず読める。経済だけあって、途中数式などが出てくるけど、数式で解説しなくても理解できるような…。アッシ的には数式が無いほうが構えなくてよいかも。

経済学者というとケインズが有名だけど、まずはその師匠のマーシャルから。そこで登場するのが「経済騎士道の精神」というキーワード。いわゆる「公共的な精神」。ビジネスの世界でも騎士道に近いものが必要だという考え方。ただ、それは現実的なものではないわけで、理想へと一歩づつ近づく努力が必要だということを言いたかったのだと筆者。

ダーウィンの進化論も登場するよ。ただ、マーシャルは、「最適者生存」をいわゆる「自由放任主義」を正当化するためのものとは考えず、「自由放任主義」によって社会は進歩していくのだという「社会ダーウィニズム」の思想は受け入れないよ。むしろ、ある程度の政府の介入が必要だと。

第2章では、マーシャルの弟子のケインズが登場。ケインズ政策を解説しているよ。

消費を増やすための減税、投資を増やすための低金利政策、それでも足りなければ、政府自らが財政赤字をつくってでも公共投資をおこなうことなど。
これが、「ケインズ政策」。あら、今でも政府のやっていることと同じじゃない!!という感動。逆にいうと世の中が変わっているのに、手法がまったく変わっていないのにガックリ…。

その回答として、センの「福祉の経済学」に納得。「経済合理性」だけで実際の人間の行動が理解できるわけではないよね。

人間の行動のなかには、自分自身の効用とは何の関係もないのだけれども、他人が虐待されているのをみて、それは不当であるがゆえに中止させなければならないというような行動に出る場合があり、それは「経済人」モデルでは決して捉えられないからです。
そう、現実の社会を理解するには、純経済的な世界だけでは限界があるんだよね。倫理的な思考法が必要だということみたい。

そんなわけで、日本の経済を考えるに、昔ながらの手法でしか物事を考えられない政治家の皆さんには、もっと倫理学も勉強していただきたいと、まったく経済学には関係の無い感想を持ったアッシでした〜。

経済学はこう考える (ちくまプリマー新書)
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