火山噴火

『火山噴火』を読んだよ。恵みをもたらす火山なのに…。

著者の鎌田浩毅氏は京都大学教授。『火山はすごい』『地球は火山がつくった』などを既読。最近、TVにも顔を出しているけれども、その風貌がパンク風というか、ちょっと派手。大学教授には見えないよ。

著者の話はさておき、本書の話。既読の2冊に内容的には近いものがあるかも。

第1章は火山そのものについて。筆者はここで火山学を二派に分類しているよ。「モノ派」と「スジ派」。モノ派は、そのものズバリ。溶岩や火山灰などの物体を具体的に扱う分野。それに対して、スジ派とは、火砕流などの現象を扱う分野。まさに筋道を追う分野だから、スジ派というわけ。確かに火砕流などの現象はあまりに危険なために、すぐそばで観察するわけにもいかず。現象や状況証拠から解読するんだよね。モノ派もスジ派もアッシ的には面白そう。

第2章では、噴火のタイプとその特徴を紹介している。そう、有名なのはハワイのマウナケア火山。溶岩の粘性が低く、爆発型の噴火ではなく、ドロッと流れるような噴火。それに比較して、浅間山は爆発型だよね。もっと爆発型は磐梯山。山頂が吹っ飛ぶほどの爆発だったわけだから。どちらにしても、溶岩の粘性が関係しているみたい。そういう風に理屈が分かると火山は面白いよね。

火山のことが分かってくると、噴火の予知ができるようになってくる。実際、噴火の予知はだいぶ技術が進んできているみたい。そして、火山のハザードマップの作成も全国の火山で進んできているよう。アッシが子供の頃に習った火山の知識がかなり古くなってきているのかも…。
例えば、休火山とか死火山とかいう言葉を使っていたけど、今の火山学者はほとんど使わないとか。「富士山は休火山です。」ってアッシな習ったんだけど…。今は「活火山」か「そうでない火山」の二種類だとか。途中のコラムで『星の王子さま』が引用される。

「ぼくのうちですか?たいしておもしろいところじゃありません。ちっちゃい、ちっちゃい星なんです。火山が三つあります。活火山が二つと、休火山が一つ。でも、いつ爆発するかわかりませんよ。」
ほら、王子さまは、活火山だけでなく休火山も爆発することを、ちゃんと知っている。
星の王子さまの知識も古かったけど、休火山も爆発する可能性があるということを知っているのはかなりの地学好きかも…。

最終章は火山との共生について。島原の雲仙普賢岳とか、有珠山とか、三宅島とか、近年に爆発した火山は多いけど、どこもその災害を乗り越えて復興しているよね。ここで、筆者曰く、

「災害は短く恵みは長い」という火山がもたらす大地の法則が、ここでも見られる。
と。そう、温泉とか美味しい湧き水とか、火山がもたらす恵みも大きいわけ。
まさに、自然との共生だよね。それを考えると、やっぱり日本に生まれてよかったなぁ〜と思うよね。日本というより地球かな…。
火山噴火―予知と減災を考える (岩波新書)
火山噴火―予知と減災を考える (岩波新書)鎌田 浩毅

岩波書店 2007-09
売り上げランキング : 142038

おすすめ平均 star
star火山について目からウロコの一冊!
star火山に関する知的啓蒙書

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ