蝿の王

蝿の王』を読んだよ。何とも言えないような小説…。

清水センセーの幾つかの本に度々出てくる『蝿の王』。文学は繋がっているという観点で、『十五少年漂流記』とか『ロビンソン・クルーソー』とかと並列で名前が出てくるよ。
そんな訳で、いわゆる漂流記というジャンルなんだろうけど、この『蝿の王』はシチュエーションだけは確かに漂流ものだけど、中身的にはかなりドロドロしたものがある代物。

まずは、そのシチュエーション。飛行機で太平洋の孤島に不時着する少年たち。年齢もさまざま。人数は不明。小さい子もかなりいるみたい。
自然の流れとして、リーダーが出てくるんだけれども、二つのグループに分かれて、対立の構図。それでも、最初の頃は、ひとりのリーダーの下、まずまず穏便に過ごしていくんだけれども、あくまでも不安定。
ちょっとしたことがきっかけで、あっという間に泥沼状態。そこから、物語のテンポが速くなって、ラストまで一気に加速する感じ。

泥沼状態になるまでが、すごく冗長でダルイ。しかも、訳の感じがちょっと古めかしいのが気になって、読むのを挫折しそうになる。
面白くなってくるのが、最後の50ページ。ラストはすごく皮肉っぽく呆気ない。それまでの300ページはここまでの伏線だったのかとも思うけど、やっぱり前半はかなりダルイ感じのような。

そう、この物語にピンと来ないのは、単なる平和ボケだからなのかもしれない。元々、人間の本質はこうなんだと云われれば、それはそれで納得するかもしれないけど。

蝿の王 (新潮文庫)
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