入門!論理学

『入門!論理学』を読んだよ。懐かしい論理がいっぱい〜。

野矢先生の本は、過去に何冊か読んでいるけれども、どれもが事例というか、例題が楽しくて、それにつられて、つい考えてしまう。本文にも書いてあるけれども、例を考えるのにも、時間を掛けているみたい。

さて、本書。
論理学というとなんだか怪しげで難しげというイメージだけど、基本的には前提から結論をきちんとした手続きで導き出すだけの話。本書の言葉を借りれば、「ではない」「そして」「または」「ならば」「すべて」「存在する」といったことばが作り出す演繹的推論の全体を統一的に見通すこと…になるわけ。
だから、複雑ではなく、単純なことの繰り返しであるはず。ところが、単純なものを組み合わせていくと、結構難しくもなるよね。

以降は、論理で使用することばについて、詳細に見ていくことになる。ここではポイントだけ紹介。

「否定」の中で出てくる「排中律」という概念が面白いよ。「Aまたは(Aではない)」(排中律)という命題は普通に考えれば、成り立つのが当たり前に思えるけれども、論理学の世界では、排中律は成り立たないという立場もあるという。排中律が成り立つ立場は、神の視点から事象を見る立場を考えると分かりやすい。そして実在論的立場とも云うよう。こういう言葉が出てくるとなにやらまた難しげに感じてくるね。
もうひとつ。背理法も「否定」の中で登場。中学校の数学で初登場の背理法だけど、背理法は否定の意味そのもので、否定をより厳密に言い表したものだということがはっきりと分かるよ。

「かつ」(連言)と「または」(選言)では、ド・モルガンの法則が登場。これも中学の数学で出てきたよね。ここでは、否定・連言・選言の導入則と除去則を使って、ド・モルガンの法則を導き出すよ。日本語でド・モルガンの法則を言い表すと、「選言の否定←→否定の連言」と「連言の否定←→否定の選言」となる。すごくすっきりしていて美しいよね。こういう表現、好きだなぁ〜。

「ならば」で出てくるのが、対偶、裏、逆。これも中学で出てきたね。対偶は必ず真、裏と逆は必ずしも真ならず…って、思い出した。
論理的には、逆とか裏を使った推論は間違いやすいポイントだとか。確かにそうかも。そして、日常的にも間違えやすいので注意が必要だと筆者のアドバイス

ここまで来て、証明するとはどういうことなのかという話題に触れる。前提があって、今までのことばのツールだけを使って、結論を導くこと。これがまさに証明。ツールが単純だからこそ、難しかったりするんだけど。当たり前じゃんと一足飛びで行きたいところを、じっと我慢して一歩一歩。ごもっとも。
ことばのツールの話が出たこともあり、公理系もここで登場。これは大学の数学レベルの話かもしれないけど。

最後は「すべて(全称)」と「存在する(存在)」。まさに、大学で初登場の概念。
この全称と存在を論理学として理解していれば、大学数学はすんなり入っていけるんだろうね。

あ〜、懐かしき学校数学の数々。話の内容もすっきりしていて、この二つの意味で楽しめました〜。

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