里山ビジネス
『里山ビジネス』を読んだよ。玉村豊男ってこういう人だったんだぁ〜。
長野県東御市のワイナリーの経営を中心に、いわゆる里山でのビジネスのあり方について、自説と実践を紹介した本だよ。
まずは、玉村氏の経営する店のオープンシーンから。ワイナリーに併設のカフェレストラン。人里離れた山の中、お客さんが来るのかと危惧していたけど、かなりの来訪者があり。レストランでは出すものが無くなるほどだったとか。まぁ、著名人の店だってこともあるんだあろうけど、順調な滑り出し。
さて、ワイナリーの起業はどうだったのか。とにかく、必要な設備がすごい。醸造設備機器だけで、4500万。その他に土地建物、そして人件費。もちろん、個人的にワインを作るだけなら、これだけの設備は不要だけど、ワイナリーを作るのには、酒税法で最低規模が決められているのだとか。税金を徴収する側の立場から、法律が決められているような気がするよ。
玉村氏の云う里山のビジネスモデルとは何か。一言でいうと「生活観光」、「小さな観光」。産地のブランド化が流行っていて、どこの地方もそういうものを目玉にしようとしているけれども、狭い日本ではそれほど差別化できないし。
そこで、そこに住む人の普通の暮らしに触れるのが「小さな観光」だと玉村氏。
そう観光地より、その場所でそこに住む人を相手に商売をする店の方が面白かったりするのは、そういう「小さな観光」なんだろうね。
適切な経営規模の話も。
里山で経営を拡大しようとすると当然森を切り開かなくてはならない。ヨーロッパに今も広がる見渡す限りの草原は原生林を切り尽くしたあとの姿だとか。かつてはその森で豚を飼っていたのだが、豚が飼えなくなり餓死者も増えたという。そのかわりに牛を飼うようにもなったのだが。
この例が示すように、経営を拡大することだけを考えれば里山の暮らしが持続できなくなってしまうと玉村氏。
エコについても。
汚れた水を流すときも、ゴミひとつ捨てるときも、つねにまわりの植物や動物のことを考える…そんなことはエコなどという言葉がまだなかった頃から昔の人がふつうにやってきたことですが、ある意味では一種のエコライフといえるのかもしれません。…と。都会の暮らしのエコとは全く違うよね。
里山の生活は都会に住む人たちにとって、一種の憧れではあるけれども、ビジネスとして考えると、大変なんだろうと思う。でも、氏のいう「確かな生活の拠点」としてビジネスを考えれば、それなりの成功はあるのだろうね。ここでいう「成功」とは都会の成功とは意味が違うのだけれども。
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