傷つきやすくなった世界で

『傷つきやすくなった世界で』を読んだよ。石田衣良氏は初めて。

駅に置いてあるフリーペーパー「R25」に連載されていたエッセイをまとめたもの。去年だったかたまたま録画したTV番組。何の脈絡もないキーワードを3つほど与えられて、それに基づいて、氏が小説を書くというもの。アッシと同じ年代なのに、若く見えるしオシャレ。アイデアが浮かぶとササッと小説を書き上げる。そんな番組だったかなぁ〜。
それ以来、石田氏の本は気になってはいたけれども、その作品は『池袋ウエストゲートパーク』など、ちょっとオジサン向けではない感じで手が伸びず。

で、本書。エッセイなので手軽に読めるよ。対象がR25だけあって、20代後半男子向け。ただ、女性の読者もかなり意識しているよね。
まさに、現代の若者を生き方を中心に話を進めているけれども、現代ニッポンのあり方そのもののような気もしてくる。同年代のオジサンでも、共感する部分があったから。

例えば、選挙の話。「自分も参加できるエンターテーメントだ」なんて言っているし。若い頃は選挙なんて興味が無かったけれども、この歳になると、何となく気になる。それは、アッシの中でエンターテーメントとして、意識されているからなのかも。若者にもそういう意識でよいから選挙に参加してもらってもよいのだろうね。

あと、日本人の感覚的な問題。

一年が終われば昔のことは水に流すという日本人の時間感覚は素晴らしいね。
と。これには目からうろこ。そうだよなぁ〜。そうやって毎年正月を迎えているんだよなぁ〜。

いじめの問題についても。日本人の恐るべき同質性が、その構成員に同調圧力をかけると言っているよ。これはまさに茂木さんのいう「ピアプレッシャー」だね。誰もが気が付いているということ。同調圧力に付き合いながらも、「全力で自分を守れ」と石田氏。

さて、読み物としては読みやすいし、共感する部分もある。それでも、何だか氏の別の作品を読もうという気にならなかったのは何故だろう。泥臭さというか生身の人間性が伝わってこないような。女性には受けるのかもしれないけど。

傷つきやすくなった世界で (日経プレミアシリーズ 2) (日経プレミアシリーズ 2)
傷つきやすくなった世界で (日経プレミアシリーズ 2) (日経プレミアシリーズ 2)石田 衣良

日本経済新聞出版社 2008-05-09
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star石田衣良の世界観を通して、「やわらかな心」を回復できる。
star20代前半(女)の感想
star心にまで格差を持ち込むなという姿勢は共感。

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