こころの情報学

『こころの情報学』を読んだよ。情報という概念はいったい何なんだ〜。

情報というと、すぐに思い浮かぶのがコンピュータ。コンピュータに蓄積された情報を、処理したり検索したり。そんなイメージが情報にはあるけど、それは単に「機械情報」という狭義の情報の概念。本質的な情報の概念とは…ということを考えさせてくれる本。
難しい論理も展開されているけれども、アッシ的には何となく分かるという理解までは出来たつもり。

「情報学」というフレーズに惹かれて、「こころ」の意味を深く考えていなかったけれども、本書を読んでみると、まさに「情報」と「こころ」は密接に関連しているみたい。
例えば、

情報は生命とともに誕生したのです。
と云う。そういう意味で、情報とは歴史とか時間の概念に沿ったものであると。

「機械の心」の章では、人工知能オートポイエーシス理論など、機械がヒトにいかに近づけるかという話。

「動物の心」の章では、動物の行動を元に、動物の心とヒトの心の違いを捉える。

ホモ・サピエンスの唯一の武器は「予測し計算する頭脳」でしたが、その能力は同時に「未来への不安」という副産物を生むことになりました。明日の計画をたてることは、明日襲い掛かってくるかもしれない不安を抱え込むことでもあるからです。これが途方もないストレスを生むことは言うまでもありません。
時間とともに情報を抱え込んでいるのがヒトってことだね。
そう、ヒトは情報を処理できるものとして捉えてしまう傾向があるよね。情報の本質とはそういうものではないのだと。それについて、警鐘を鳴らしているのだと思うよ。

「サイバーな心」の章では、情報洪水はわれわれをどこに連れて行くかについて語る。

本来の<情報>とは生命の“意味作用”であり、社会的動物であるヒト特有の<言語>をはじめとする記号表象はその発展形として生まれてきたのですが、記号の意味内容が規範化されるにしたがって、意味内容をはぎとられた記号のみが機械的に複製・配布されるようになってきました。
確かに、この機械情報はヒトの心にはほど遠い存在だよね。だからといって、機械情報に振り回されない方法ってあるのか…っていうと難しい問題だけどね。自分自身がどう向き合うかなんだろうけど。
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