早わかり世界の文学

『早わかり世界の文学』を読んだよ。世界の文学っていうより、清水センセー流文学論。

清水センセーの3つの講演とそれに対する補講という組合せで構成された本。

講義Iは「パロディは文学でつながっている」と題して、パロディ論。
小説家は過去の作品に影響されて、作品を作っていくという。そして、世界の文学作品を例にその説明。ホントだ、過去の影響を受けて書かれただろうと思われる作品が多数。
清水センセーが上げた例として面白かったのは、『ドン・キホーテ』。17世紀のヨーロッパで大流行した騎士道物語のパロディだという見解。そして、その『ドン・キホーテ』のパロディが『男はつらいよ』の「寅さん」。もうひとつ、パロディとは言えないけど、『ロビンソン・クルーソー』の影響を受けて書かれたのが、『ガリバー旅行記』だと。
と、結局、清水センセー、何が言いたいかというと、文学は繋がっているのだと。

講義IIは「読書で学べること」。
要は読書の効用は、いろいろなことが学べること。『ファーブル昆虫記』で論理性を、『坊っちゃん』では社会を学べると。

講義IIIは「作文教室と創作方法」。
清水センセーが長年やってきた小学生対象の作文教室の話題から、文章の上達法までを伝授。さらには創作方法まで。『小説家になる方法』と重なる部分もあったけど。
で、清水センセーのアイディアはどこで生まれるのか。ヒントになる文が以下の引用か…。

つまり、人間のやることを全部見ていて、私は面白いことだなと思っている。面白いなと思うと、次の瞬間、そういうことを書こう、と。
<中略>
せんじつめていけば、人間の面白さを書こうとしているんですよね。
作家先生というものは、幾つかのネタを持っていて、それを組み合わせたりしているんだなぁ〜ということも今回の発見のひとつ。講演記録だから多少はそういうこともあるんだろうけど。
早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術 (ちくま新書 712)
早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術 (ちくま新書 712)清水 義範

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