すべては音楽から生まれる

『すべては音楽から生まれる』を読んだよ。音楽を持ち上げ過ぎの観が…。

去年くらいから、音楽に関する本を出している茂木さん。アッシも音楽が嫌いじゃないので、そういう意味で楽しみだった本書。図書館でも人気で予約を待ち数ヶ月。

音楽を茂木さん的に捉えると…というのが本書のポイント。そこはやはりクオリアから入る。楽譜というデジタルなものから、あの素晴らしい音が発せられ、「今、このとき」を過ぎていく。すぐに過去のものになってしまうのに、記憶に残ったわずかな情報から人間はクオリアを生み出していく。その中に感動がある。
うん、以前から茂木さんのクオリアに関する議論をを読んでいるので、すご〜くよく分かる。イメージが沸く。確かに音楽を聴くと行為は不思議なもの。ひとつひとつの音をデジタルとして捉えることはできないのに、それでも感動が残る不思議さ。クオリアのおかげ。

例えば、≪G線上のアリア≫を聴くと敬虔な美しい気持ちになると、茂木さん。

強いられるのでなく、自らの内から生まれてくる、祈りにも似た感情。そっと目を閉じ静かに頭をたれたくなるような、神々しさ。もはや言葉では言い表せない。そして、言葉にならないからこそ、信用できる。それが祈りのような音楽の正体だ。
…と。「言葉にならない」とはデジタルでは表現できない部分。まさにクオリアの範疇かも。

秘仏の話題も面白い。めったに公開のされない秘仏。「見ることができない」とはまさに音楽と同じだと。

本体は、見えない。聞こえない。それをいかに想像するか、ということ。聴くということの本質がそこにある。
音楽を聴く時、人間は何を考えているんだろと思う。よ〜く考えてみると、ますます分からなくなる。クオリアですべてが解決するのかとは思うけど。

本書の最後に「ラ・フォル・ジュルネ」の主催者であるルネ・マルタン氏との対談があるけど、これは余計なような。逆にいうと、これの為に本文があるような気も。だから、冒頭の「持ち上げ過ぎ」という印象にもなるよね。残念。

すべては音楽から生まれる (PHP新書 497)
すべては音楽から生まれる (PHP新書 497)茂木 健一郎

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