村上春樹、河合隼雄に会いにいく
『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』を読んだよ。河合隼雄に興味。
タイトルの通り、作家・村上春樹と心理療法家・河合隼雄の対談集。対談集なんだけど、それぞれのコメントが頭注と脚注に付けられていて、どうも読み難い本だよ。読み方に工夫がいるかも。
村上春樹が非現実的なことを言い、河合隼雄が現実的な答えでそれをまとめるというパタンのような。
キーワードは、「コミットメント」。あちこちでこの言葉が出てくるけど、逆意としてデタッチメントもよく出てくる。オウムとか阪神淡路大震災とかがその事例。今の若者たちの状況について、
いまの若者たちは、ちょっとわからなくなっているんですよ。ドライだとか無気力だとか言われているけれど、今の学生たちは、かつての学生たちがやったデタッチメントということは失敗に終わったということをよく知っているから、そのまねはできない。かといって、何にコミットしていいかということがぜんぜんわからない状況にいまいるのですね。と河合氏。アッシ的には、コミットメントとデタッチメントの意味がこれでよく分かったような。
もうひとつ。韓国の個人主義について語るんだけど、韓国は個人主義というよりファミリー・エゴなのではないかと。で、日本人については、
日本人はファミリー・エゴともまた違って、フィールド・アイデンティティーで、その場その場をアイデンティティーの基礎にしてしまうという、非常におもしろい性質を持っているから、会社をフィールドにしたり、家庭をフィールドにしたりで、その都度うまくやっているのですね。と河合氏。これって、「フィールド」=「世間」ってことだよね。同感、同感。
村上春樹、河合隼雄に会いにいく | |
河合 隼雄 岩波書店 1996-12 売り上げランキング : 28273 おすすめ平均 対談っておもしろいなあと思えた一冊 それぞれの単著が読みたくなる 村上さんの小説をもっと深く知りたいという方にもお薦めできます。 Amazonで詳しく見る by G-Tools |