中世の窓から

『中世の窓から』を読んだよ。阿部謹也シリーズ第9弾。

いよいよ筆者の西欧中世史ものの最高峰に挑む。阿部謹也氏の本は何冊も読んできたけれども、西欧中世史に関するものはなかなか手が出なかったよ。それは理解し難かったから。でも、今回は図書館の閉館の関係で長期に借りられることが分かったので、いよいよ読む気になったというわけ。でも、読んでみると、朝日新聞に連載されていたものをまとめたものだけあって、筆者のこの手の本の中では分かりやすかったよ。

さて、本書の内容。中世ドイツの人々の人と人との関係がどのように変化していったかを様々な事例をもとに分析しているっていう感じかな。

ポイントは、人と人との関係は、モノを媒介とする関係と目に見えない絆によって結ばれている関係の二つがあるということ。そして、その二つの関係が中世において、徐々に後者が幅を効かせてくるようになるということ。その変化は徐々にではあるけれども、結果的には大きな変化であったということ。
ひと言で言うことは難しいけど、アッシ的にはこの本の解釈はそんな風。

そして、新たな発見もあったよ。ユダヤ人迫害のこと。その背景が本書を読んで分かったよ。今まで、考えたことも無かったことだから、ちょっとお利巧になった気分。

で、この西欧中世における人と人との関係の研究。当然なんだけど、日本人の世間学に繋がっているんだよなぁ〜。

中世の窓から (朝日選書)
中世の窓から (朝日選書)阿部 謹也

朝日新聞 1993-03
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