ブナの森を楽しむ

『ブナの森を楽しむ』を読んだよ。森にはいろいろな楽しみ方があるね。

印象的なのは、食物連鎖の話。
ブナの森を保護しようとかいうと、ブナだけ保護すればって思うかもしれないけど、ブナの森にはたくさんの動植物が共存している。その共存関係を維持しなければ、ブナの森を保護することにはならないんだろうね。
そして、その食物連鎖の仕組み。寸分違わぬ精緻な仕組みで成り立っているんだよね。
ブナの葉を食べる蛾の幼虫はどうしてブナしか食べない種類が多いのかとか、ブナの実の豊作はどうして5年周期なのかとか。これがすべて意味があることだから面白いよ。

ヨーロッパのブナと日本のブナの対比も面白い。そこに生息する蛾や蝶の種類の違いがその性質の差を明確に表しているようだよ。

筆者は「森はだれのものか?」と問い掛ける。『日本の美林』にも出てきた東京都水源林や襟裳岬の昆布を蘇らせた森などの例は、単に森がそこにあるというだけではなく、下流の人たちの生活の糧となっていることの事例だよね。

だから、ブナの本だけど、ブナだけでなく森を考えさせられる本だったよ。

子供の頃は針葉樹がカッコイイと思っていたけど、広葉樹の方が進化していた植物だったんだね。この歳になって始めて知ったよ。

ブナの森を楽しむ (岩波新書)
ブナの森を楽しむ (岩波新書)西口 親雄

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