日本のいちばん長い日/半藤一利
『日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日』を読んだよ。終えるのは難しい。
本書のKindle版を購入して、しばらくは積読状態。こういう時に電子書籍はいいような悪いような。場所は取らないけど、ポチったことを失念するから。
気を取り直して本書。2度ほど映画になっているから、知っている人も多いと思う。そう、終戦記念日とその前日の物語。登場人物は、政府(内閣)、宮内庁、陸軍、NHK、ちょっとだけ海軍、そして昭和天皇。
そして、本書の最初の刊行が昭和40年7月。つまりは、終戦から20年。これだけ書けたのは、やはり20年の年月が経ち、それぞれの登場人物が冷静に当時のことを見つめることができるようになったからか。いや、当時の記憶を呼び出すには20年という歳月が限界だったということか。
そして、たった2日間の物語だけど、その内容は濃厚。だから、筆者曰く、
したがって、本書は単に「終戦の日」の思い出ばなしを羅列したものではない。いままで埋もれていた資料をもとに、日本人の精神構造を主題にして構成した、二十四幕の?長篇ドラマ?なのである。と。そう、1時間に一幕。そして、それぞれに一人のキーマンが登場する。それぞれがそれぞれの思いを胸にしているし、それを行動として起こそうとしている。真剣な思いで。
そして、敗戦か抗戦か。結論は分かっているんだけど、周囲の思いを忖度する人々。だから、
そうした混乱と絶望と苦闘の閣議とくらべれば、この日の、いわば帝国しめくくりの閣議は、葬儀に似てしめっぽいものであったが、ある意味では心安らぐものでもあったことに間違いない。とか、
これらの部下たちを絶望的な混乱から救い、身をもって正しい決断にみちびくために、陸相は必死の努力を傾けている。なにより彼らに?栄光ある敗北?をあたえてやらなければならない!という気持ちになるんだろうね。
戦後70年、日本と日本人はあっという間に変わってしまった感があるよね。日本国を思う気持ちは変わっていないといいんだけど。
日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日 | |
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