未来食堂ができるまで/小林せかい

未来食堂ができるまで』を読んだよ。定食屋なのにシステマチック。

何気なく見ていたTV番組で取り上げられていた「未来食堂」。オーナー兼店長が数学科出身の若い女性ということで、これはユニークなことになりそうと思って見ていたら、案の定。多くの制約条件を様々な創意工夫でクリアし、店を切り盛りする姿は感動的。
本書は、その「未来食堂」の女将が「未来食堂」を開店するまでと開店してからの4ヶ月をブログに綴ったものをまとめたもの。

では、どんな店なのだろうか。

『美味しいもの』ではなくて『その人にとって美味しいもの』を出す店はどうだろう。
という気づきから始まったという。だから、宣伝媒体には「美味しい」という単語は使わないという徹底ぶり。コンセプトから言えば、当然なんだろうね。

そして、店のテーマ“あつらえ”を中心に、サービスとオペレーションを構築していく。特にオペレーションの構築は、ITエンジニアだった経験を活かして、おもいっきりシステマチック。普通の定食屋ではここまでしないだろうというところまで、オペレーションを考える。このオペレーションにより、ランチタイムの4回転を実現させてみたり。

さらに、オペレーション効率を上げるには、人的リソースが必要になるんだけど、その調達方法もユニーク。単なるアルバイトとかボランティアではなく、「まなかい」というシステムを構築する。50分間手伝うと一食タダというもの。実際に「まかない」さん、いるのか?とも思うけど、ちゃんといる。素晴らしい。

さらに画期的なのは、事業計画書を公開していること。当然、同様のサービスを展開する食堂の登場が考えれるが、「未来食堂は真似できない」とキッパリ。

未来食堂にある真の願いは「誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所を作ること」である。この思いから出てきた一例が「あつらえ」であり、表層的なところだけ真似されても十分に差別化できる。
と説明しているよ。それでも、本人的には、これでやっていけるのだろうかと心配だったみたいだけど。

効率的なオペレーションが好き。一度、現場に行ってみたいなぁ〜。筆者的には、「まかない」になるのが一番理解できると言っているけどね…。

未来食堂ができるまで
未来食堂ができるまで小林 せかい

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