スタバではグランデを買え!/吉本佳生

スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学』を読んだよ。アッシは安くないと買わない人。

単行本が出た時に、このタイトルで一瞬興味を惹かれ、気になっていた本。いつのまにか文庫版が出て、ついでに図書館では予約状態だったので、早速予約。なんと言っても、タイトルがキャッチーだよね。グランデなんて買ったことはないし、全部飲める気もしないし。だから、グランデがお得だなんて思ったこともない。完全にショートオンリー。

では、なぜグランデをお勧めするのか。買う側も売る側もお得だからというのが結論なんだけど、これを説明するのがコスト。コストにいろいろあって、結局は人件費を考えれば、原材料費なんて無視できるほどのコストしかなく、量を倍にしても100円アップの売り上げの方がデカイわけで、店側にとってはかなりのお得。客側も飲みたい客にとっては、100円足すだけで、倍の量を飲めるわけで、これまたお得という筋書き。そう、ここまで細かくは考えたことはなかったけど、コスト分析すればそういうことなんだろうなぁ〜とはなんとなく分かっていた世界だよね。

そして、価格設定は、

くどいようですが、企業側にとって理想的な価格設定は、やはり「高く買ってくれる客には高く、安くないと買わない客には安く」です。
がキモ。事例としては、映画などのDVD。一般的には\3,980とかで売り始めて、時間が経つごとに価格が低下していき、最後はワンコインDVDとかに落ち着いていく。逆にプレミアム版とかが出ると1万円以上したり…。1万円出しても買いたい人がいるから、その価格を設定しているわけだし、500円でも買ってくれる人がいれば安くも売るという。トータル的に見れば、一定の価格を維持するよりも、売り上げは多くなるというシナリオ。
その他に典型的なのが、自動車。基本ベースの車があって、グレードが上がるにつき、価格も上がっているわけだけど、オプション品の価格以上の開きがあるわけだよね。これも、高く買ってくれる人がいるってこと。よくできているよね。

もうひとつ、注目すべきコストは「取引コスト」。
たとえ、モノの値段が安くても、買い物の為の交通費とか時間とかもコスト計算に含むことは重要だよね。だから、スーパーの中にはペットボトルのお茶が98円で売っているのに、スーパーの前の自販機で150円のお茶を買う人もいる。レジに並ぶ手間(コスト)を、52円払って省略しているんだよね。
もうひとつの例として、子供の医療費無料政策につして、コストの考え方を適用したらどうなるかが本書に書かれているよ。これは面白い。詳しくは本書を。

そう、価格ってどうやって決まるんだろって、よく考えることがあるけれども、これだけ懇切丁寧に説明されると、ほとんどが納得できるし、理屈が成り立つよね。なんだか、モノを買う時に、原価とかがつい頭をよぎったりしそう。いや、それより、取引コストを意識するかな…。

スタバではグランデを買え!: 価格と生活の経済学 (ちくま文庫)
スタバではグランデを買え!: 価格と生活の経済学 (ちくま文庫)吉本 佳生

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