革命のファンファーレ/西野亮廣

革命のファンファーレ 現代のお金と広告』を読んだよ。これも革命か?

お笑い芸人キングコング西野亮廣お笑い番組をほとんど見ない自分にとって、この筆者がどこの誰かも知らず、なぜ本書を手に取ってしまったのかも、今となっては闇の中。なんだか話題になっていそうだな…という感覚だけだったのかもね。

副題は「現代のお金と広告」ということで、なにやら直前に読んだ『YouTube革命』に繋がるものがありそうな感じだし、まさに結局は同じことを言っているような…。
では、「現代のお金と広告」について、どんなことを言っているか。

まずは、クラウドファンディングについて。
筆者は絵本の出版に際し、クラウドファンディングを使って、資金を集めたわけなんだけど、

お金は信用を数値化したものであり、クラウドファンディングは信用をお金化する為の装置だ。
という考え方。だからこそ、信用を勝ち取れと。ここで登場する「信用」という概念は本書に通底するキーワードで、「お金より信用を」ということを本書の中で言い続けているといってもいいかもしれないね。

もう一つのテーマ「広告」について。
キーワードはフリーミアム戦略。よくある戦略だけど、筆者の主張は、

ニュースを出すな。ニュースになれ。自分の時間を使うな。他人の時間を使え。
ということ。自分で自分のことを話すより、他人が自分のことを話してくれるだで、それさえもニュースとなるということ。1日100時間にする為の極意だよね。

「しるし書店」や「おとぎ出版」の話はこれからのネット社会での生き方を捉えたユニークなアイデア。きっと、筆者は芸人よりビジネスマンなんだろうね。もしかして、芸人になったのは、売名の為?なんて思えてきたわ〜。

革命のファンファーレ 現代のお金と広告
革命のファンファーレ 現代のお金と広告西野 亮廣

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新編・風雪のビヴァーク/松濤明

新編・風雪のビヴァーク (ヤマケイ文庫)』を読んだよ。文章力のチカラ。

本書は、登山家・松濤明の登山記録(日記)と山岳会の会報に投稿した手記を中心に編纂したもの。何度も同じタイトルで幾つかの出版社から上梓されているけれども、その後さらに発見されたものを追加したようだから、「新編」となったみたい。

1960年に『風雪のビバーク』として出版されたみたいだけど、当時ベストセラーになったとか。そして、「最後の手帳」に記された文章(松濤の遺書)が話題になったとか。

さて、内容の前に、この文章が優れもの。編者曰く、

一読すれば了解されるだろうが、この紀行文の「文学」としてのレベルの高さは、並のものではない。十八歳になったばかりで、これほどの筆力。彼が若くして逝かず、文学的才能を開花させたとしたら、どれほどの果実を成したことであろうか。
ということ。そう、確かに若干20代の若者とは思えない文章力だと思う。文学的とも言えるかもしれないけど、論理性もある。基本的に頭の良い人だったんだろうなぁ〜と感じさせる文章だよ。今の学生にここまで書ける能力があるかというとちと疑問。

では、その文章を幾つか紹介。

美しい月、夢幻的な月、いろいろ見た月の中にも、かつて私はこんなに物寂しい月は見たことがない。とつぜん激しいノスタルジアが襲ってきた。家、里が恋しい。「引き返そうか」悪魔的な衝動が胸をかすめた。しかしそれは意地でもできない。
これは文学的な文章かな。それでも、山に行く人皆が感じる感情を一文で表しているんじゃないかと思う。いいよね。

もう一つ。

山の懐ろは平和そのものである。明るい磧を渡りながらふと法悦にも似た無我におちいる。過去もなく、未来もなく、ただ現在だけが無限に拡がっている。いつかずうっと以前にも、こうしてこの磧を渡っていったように思う。それがまた明日の自分の姿のようにも思われる。
これは哲学的。これが書けるのは、山に行く度に感じていたことだからなんだろうね。それを文字にするのは難しいんだけど。

話題の「遺書」は、是非本書を読んでほしい。死を覚悟しても最後まで冷静だったような。いや、覚悟したからこそ、冷静になれたのかもしれないね。

新編・風雪のビヴァーク (ヤマケイ文庫)
新編・風雪のビヴァーク (ヤマケイ文庫)松濤 明

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ゲゲゲの女房/武良布枝

ゲゲゲの女房』を読んだよ。ごく普通の人生。

NHK連続テレビ小説ゲゲゲの女房」の原作本。この番組の放送は2010年の春秋だったけど、なぜか自分も見ていたのをよく覚えている。普段はNHK連続テレビ小説を見ることはないから、不思議。余談だけど、NHKの番組Webページを見ていたら、登場人物に今人気の星野源が…。意外にこういうことって多いよね。

内容としては、漫画家水木しげるの妻・武良布枝が著した自伝エッセイ。とはいえ、本人のことよりも、夫・水木しげるのこともかなりの分量で書かれている。ん?もしかしたら、水木しげるのことの方が多いかも。

自伝だから、まずは自身の生まれ育った街のこと。島根県安来市。そこでは、

目には見えないけれども、私たちを守ってくれる神様や、無礼を働いたら怒って 災いを引き起こす存在が、いたるところにいるということを、町の人たちみんなが肌で感じ、心から信じていました。それは、怖いことではなく、むしろこの町に住む安心感につながっていました。私が、魂や神様、仏様を身近に感じるようになったのも、こうした古里があったからだと思っています。
という経験。これは、のちの水木しげるの妖怪を扱った漫画に繋がっていくよね。水木しげるとの縁というか。

そして、結婚。水木しげるの仕事ぶりについて、

精魂こめてマンガを描き続ける水木の後ろ姿に、私は正直、感動しました。これほど集中してひとつのことに打ち込む人間を、私はそれまでに見たことがありませんでした。
という思い。見合いをして5日後には結婚というスピードだったけど、こんな夫の様子を見て、尊敬の念さえ抱くようになる筆者。

そして、貧乏生活から抜け出て、売れっ子漫画家になる水木しげる。生活がガラッと変わってしまうが、ベースとなるポリシーは変わらない二人。

晩年。自身の人生を振り返って筆者は、

人生は入り口で決まるのではなく、選んだ道で「どう生きていくか」なんだろうと、私は思います。
と。自身の生き方もそうだったんだろうけど、水木しげるの生き方も同じだったんだろうね。いい話を読ませていただきました。
ゲゲゲの女房
ゲゲゲの女房武良 布枝

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爆笑問題の日本原論/爆笑問題

爆笑問題の日本原論』を読んだよ。これだけ事件があったのか…。

『爆笑問題の日本史原論』がやけに面白かったので、息抜き読書はコレってことで本書。このところ、ちょっと硬めの本が続いていたってこともあり。

『爆笑問題の日本史原論』と違うところは、取り上げる話題の時代。1994年から1997年に掛けて日本で起こった事件を取り上げて、爆笑問題が面白可笑しく語るというもの。

その面白可笑しくという点では、『爆笑問題の日本史原論』には劣る感じ。それはやっぱり時代性というものがあるのかも。そうそう笑えない現実があるから。
例えば、この時代の大事件といえば、オウム真理教阪神淡路大震災。この事件を契機に日本は何が変わったのか。そして、政治は自民党一党体制の崩壊もあり、大きな変化の時代だったと言われているけれども、本質は変わっていないような気もするし。

そして、時代を感じる笑い。

太田――世界が“ドリフ”だったら、日本は絶対に“高木ブー”だね。
これって、もう若い人には分からない笑いなんだろうなぁ〜。
爆笑問題の日本原論
爆笑問題の日本原論爆笑問題

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垂直の記憶/山野井泰史

垂直の記憶 ヤマケイ文庫』を読んだよ。登山家だって人間。

ヤマケイ文庫で本書が出た時から注目していたんだけれども、電子書籍で安くなっていたので、即ポチ。そして、しばらくの積読状態から今回ようやく脱出。

本書は山野井泰史氏が登攀したヒマラヤの山々の記録を山野井氏自身が綴ったもの。山々なんて書いたけど、そのすべてが高所なわけで、安易に「山々」なんて言えない山岳ばかり。しかも、登山ではなく「登攀」。まさに壁をよじ登る。しかも、その壁は雪と氷と岩ばかり。普通の人、いや普通に山に登る人でさえ、想像できない世界なんだよね。

では、山野井氏の思いはどうなのだろうか。

しかし、登るために必要なことは、すべて受け入れようと思っているのだ。
確かに小さなハイキングをしているときも喜びは感じるが、やはりぎりぎりの登攀をしているとき、「生きている」自分を感じられるのだ。
しかし、夢がなければ生きられないし、都会で生活していると落ち着かず、すぐにでも雪と岩と氷の世界へ戻りたくなってしまう。
僕は上に向かって前進しているときが、一番幸せのような気がしてならない。
マナスルが僕を痛めつけようとしたのではなく、僕がミスを犯しただけなのである。
どれもが山への思いが強く感じられる言葉だよね。

そして、本書の中で壮絶な登攀が最終章の「ギャチュン・カン北壁」。妙子夫人と登るのだが、文字通り、九死に一生を得るという言葉が相応しいほどの登攀。それでも、山に行くという山野井氏。

僕は、日常で死を感じないならば生きる意味は半減するし、登るという行為への魅力も半減するだろうと思う。
登攀を通じて、全身全霊で生きていることを感じていたいのかもしれないね。
垂直の記憶 ヤマケイ文庫
垂直の記憶 ヤマケイ文庫山野井 泰史

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参謀/森繁和

参謀 (講談社文庫)』を読んだよ。落合博満の徹底ぶり。

筆者は2004年から8年間中日ドラゴンズのコーチを務めた森繁和氏。その8年間のドラゴンズは、リーグ優勝4回、日本一1回という優秀な成績だったわけ。勿論、落合監督の手腕や選手の活躍が素晴らしかったわけだけど、監督の右腕として、大車輪だったと言われるのが、森繁和氏、その人。
で、本書はその8年間の話を中心に、ドラゴンズというチームの強さ、落合監督の凄さ、参謀の役割などを語ったもの。

冒頭は、いきなり2007年の日本シリーズ第5戦、幻の完全試合から。当然ながら、山井投手の血マメについて、詳しく書かれているけれども、森氏の視点はちと違う。

今でも思うのは、なぜマスコミは、あのとき、もっと岩瀬のことを褒めてくれなかったのかということだ。
と岩瀬のことを言う。そう、アッシもこれには思いっきり同意。完全試合を続けていた山井以上のプレッシャーを強靭な精神力で乗り越えられる岩瀬はやっぱり凄い。一番褒められるのは、岩瀬だと思うよ。

そして、落合監督。情報統制の徹底ぶりは有名だったけれども、それを実感する話題。

一つ目は、2004年の開幕投手に川崎を指名したこと。これには色々な狙いがあったわけなんだけど、その一つが、

チームの極秘事項である開幕投手の情報が本当に漏れないのか、確認していたようなところもあったのだ。
ということ。これが事実だとすれば、落合監督の思慮深さに脱帽するしかないよね。

もう一つは、先発投手の指名。前述の川崎投手以外は、筆者が決めていたということ。事前に監督に言わなかったこともあったという。それでも、落合監督は、

「オレが先発知らないんだから、情報が漏れることもないだろう」
と言ったとか。先発を聞かされなかった嫌味に聞こえなくはないけれども、落合監督がいかにも言いそうなセリフだよね。

そして、今年2014年度から筆者はドラゴンズに復帰。前半戦の成績は芳しくないけれども、落合流でいけば、まだまだこれからというところ?…と少し落ち着くことができるのも、本書のおかげでした〜。

参謀 (講談社文庫)
参謀 (講談社文庫)森 繁和

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ユーミンの罪/酒井順子

ユーミンの罪 (講談社現代新書)』を読んだよ。やっぱり、罪なのか。

酒井順子氏の新書って珍しい。どうして新書かって考えてみたけれども、それは社会学という捉え方なのかと。そう、ユーミンというアーティストを題材に日本人と日本の社会を捉えるという意味。なるほど、読んでみると、ユーミンとはひとつの社会現象だということが分かるわけ。

おっと、概念的な話になってしまった。では、酒井氏がユーミンをどう分析しているのか?
まずは、「ニューミュージック」というカテゴリの「ニュー」とは何か?それは「瞬間を切り取る」ということだと酒井氏。

何かを訴えるものでもなく、伝えるものでもなく、ぶつけるものでもなく、シチュエーションをそのまま提示するのが、ユーミンの歌。つまりは面や線ではなく「点」だけを示すそのやり方こそが「ニュー」だったのではないか。
ということ。そう、そこから何かを見つけたり、感じたりはご自由にどうぞっていう雰囲気はあるよね。押しつけがましくなくて、いわゆる新人類には波長があったんだろうね。
もう一つのキーワードは「助手席感」。そう、車の助手席。特に説明しなくても、この感覚は分かると思うけど。
ユーミンファンの中には、その助手席感に共感する女性も多かったのではないでしょうか。
その象徴が「中央フリーウェイ」。とは言え、その後のユーミンは時代の開拓者というイメージもあるよね。その時代時代でイメージを変えつつ、しかしながらこの「助手席感」も所々で顔を出すといったような感じも。

それしても、これだけの曲を分析できたのは凄いこと。これも、酒井氏が中高生の頃から聞いていたユーミンだったから、できたのかもしれないね。そう、苦にならなかったんだろうね。アッシも懐メロとしてユーミンの曲を思い出しながら、読了しました〜。

ユーミンの罪 (講談社現代新書)
ユーミンの罪 (講談社現代新書)酒井 順子

講談社 2013-11-15
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